【つぶ】名文は残る
この本↓を読んだ。
素晴らしい本だったんだが、内容紹介は単独の項目としてまた(なるべく)書くとして、なるほどなーと思ったこと。
戦国日本に来た宣教師で、なんらかの文章を残した人って想像以上にいるんだな。
大物はみな何かしらの記録を残してるみたい。
なのに、引用されるのは決まってルイス・フロイスだ。
どの本もフロイスばっか。
壮大で重要なことについて、ぐっと踏み込んでズバッと書いている。
資料として一級であると同時に、文章としても面白い。
ちょっと長いんだが、これ↓は【本】明智光秀で引用されてた部分。
* * *
殿内にあって彼(光秀)は余所者(よそもの)であり、外来の身であったので、ほとんどすべての者から快く思われていなかったが、自らが受けている寵愛を保持し増大するための不思議な器用さを身に備えていた。
彼は裏切りや密会を好み、刑を科するに残酷で、独裁的でもあったが、己(おのれ)を偽装するのに抜け目がなく、戦争においては謀略を得意とし、忍耐力に富み、計略と策謀の達人であった。
また、築城のことに造詣が深く、優れた建築手腕の持ち主で、選り抜かれた戦いに熟練の士を使いこなしていた。
彼は誰にも増して、絶えず信長に贈与することを怠らず、その親愛の情を得るためには、信長を喜ばせることは万事につけて調べているほどであり、信長の嗜好(しこう)や希望に関しては、いささかもこれに逆らうことがないよう心掛け、彼の働きぶりに同情する信長の前や、一部の者がその奉仕に不熱心であるのを目撃して、自らはそうではないと装う必要がある場合などは涙を流し、それは本心からの涙に見えるほどであった。
また、友人たちの間にあっては、彼は人を欺(あざむ)くために七十二の方法を深く体得し、かつ学習したと吹聴していたが、ついには、このような術策と表面だけの繕いにより、あまり謀略という手段を弄(ろう)することに精通してはいない信長を完全に欺着し、惑わしてしまい、信長は彼を丹波、丹後二ヶ国の国主に取り立て、信長がすでに破壊した比叡山の大学(延暦寺)の全収入――それは別の国の半ば以上の収入に相当した――とともに彼にあたえるにいたった。
* * *
すげー悪意に満ちた記述で、これが本当なのかはさておき、なんという面白い文章なのか。
主観でズバッと切り込むのって大切だわ。
光秀がサイコパスなのか、フロイスがサイコパスなのか、どちらか一方は異常人格に思える。
ほんと面白い。
名文は残る。
それを思わされる。
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コメント
借金玉のツイートも名文が多いからフォローした方が良いぞ
投稿: | 2018年8月 3日 (金) 00時35分
宣教師が布教活動する裏で日本人を外国に奴隷として
売り飛ばしていたのは本当ですか?
投稿: | 2018年8月 3日 (金) 02時14分
>宣教師が布教活動する裏で日本人を外国に奴隷として
>売り飛ばしていたのは本当ですか?
日本の少年4人がローマまで行った天正遣欧使節ってのがあったんだけど、行く先々でびっくりするほど多くの日本人奴隷を見て悲しい気持ちになったって記録がある。
東南アジアのみならず、アフリカとかヨーロッパまで日本人奴隷はいたらしい。
投稿: 福地 | 2018年8月 3日 (金) 07時08分
>借金玉のツイートも名文が多いからフォローした方が良いぞ
リストに入れてみた
投稿: 福地 | 2018年8月 3日 (金) 07時11分
先生、はよおじさんが天鳳八段に昇段しました。先生負けないで
投稿: | 2018年8月 3日 (金) 09時46分
はよおじさん=雀ゴロリーマン
投稿: | 2018年8月 3日 (金) 09時49分
信長は布教を許可したから好意的、光秀は信長を襲撃して自刃に追い込んだから悪意的、秀吉はバテレン追放令を出したから悪意的。
宣教師と言えど人間だから感情的になるのだろう。
投稿: | 2018年8月 3日 (金) 11時09分
ふくちんこ先生の名文も、数百年後に残っているはず (o´∀`)b
投稿: | 2018年8月 3日 (金) 19時10分
>信長は布教を許可したから好意的、光秀は信長を襲撃して自刃に追い込んだから悪意的、秀吉はバテレン追放令を出したから悪意的。
そういう側面はかなりあるみたいですねw
投稿: 福地 | 2018年8月 4日 (土) 08時51分