【麻雀本】爆打本を読んだ
俺の評価は、読み始めたときはかなり低かった。
読み終わったときは、けっこう高くなっていた。
その理由を順に。
三段の素朴なにーちゃんが81問の問題を通じて爆打に教わる形式になっている。
そのストーリーが、冒頭4P、ラスト2Pのマンガで語られている。
フットワークよくマンガを入れられる編集力は竹書房の長所だが、この設定が架空で、ざーとらしい。
三段って、蒼山三段とは関係ないんか?
爆打やAIに関する検証はゼロ。
人間のトップレベルとほぼ並ぶ強さまで来たとされていて、そのこと自体に異存はないのだが、その中身が検証されてない。
人間の強者に比べて、どういう点が強くて、どういう点がまだ及ばないのか?
爆打がどんな風に学習して強くなってきたかの記述も弱く、機械学習等の用語はゼロ。
たとえば、12月に出た雀ゴロK本3では、nisiシミュレータが出した数値(グラフ)が大量に載っているが、そっちとの比較もゼロ。
爆打の長所、短所等が何もわからない。
データ系の最初の本じゃないんだから、すでにそういう本同士の比較の時代に入ってると思うんだが…。
というわけで、麻雀AIへの関心を満たしてくれる部分はゼロ。
想定されている読者の知的水準が低すぎる。
AIって何も説明してくれず、答えしか出さないもの。
この本は、爆打の実戦譜から平澤さんが問題を選び出し、その理由を水上さんと討論して推測し、それを木村さんが会話にするって流れで作られているはず。
実際にはそうやって作られているにも関わらず、強いAIが素朴なにーちゃんに教えてあげるという単純な形式になっており、ブラックボックスの部分を推測する作業が何も明かされていない。
水上さんのライフヒストリーコラム4本はいいのだが、そういうのが、平澤さんも含めてもっとないと。
麻雀する人って、麻雀にしか興味ないんでしょ?って馬鹿にされてる気になって、当初の印象はかなり悪かった。
良かった点としては、押し引き本的な問題集&答えとして、非常にすぐれていたこと。
前半は手牌だけの問題が多く、途中からは押し引き的な問題ばかりとなる。
答えを見て、数値を比較してみると、押し引きの構造みたいなやつがかなりわかる。
旧来の人間的な思考(勝負手だから…とか)は、かなりストーリー的な発想になっており、現実には、自分の打点、アガリ率、放銃率によって決まるという冷徹な構造が、よくわかるようになっている。
たとえば、素晴らしい手でも2シャンテンでは勝負にならないから現物を抜くしかないとか。
あと、他3人のテンパイ確率がすべて示されているので、そういう目で見ると、自分の手だけ見て考える発想じゃあかんってこともよくわかる。
押し引き問題集としては、かなり優秀だと思える。
たとえば、この問題↓
こんなのドラのツモ切りで押すしかない。
その答えは当然なんだが、答えを数値で比較してみると圧倒的な差↓
当然なんだよ。
自分はマンガンテンパイなんだから、アガリ率最大に受けないと。
当たり前の話なんだけど、圧倒的な数値の差で見せられると大きな説得力で、定着性が高くなるという。
押し引き本としての問題の選択と、解答の表示方法としては非常に優秀だった。
…というわけで、総合評価として、読み物としては完全に期待外れだった。
麻雀の戦術書としては、かなり優秀だった。
という評価になる。
ウザクさんは絶賛↓
爆打本『麻雀AI戦術 人工知能「爆打」に聞く必勝法』
— G・ウザク@2月17日東天紅ゲスト (@mjbook) 2018年2月7日
まだ発売まで結構あるので、中身の画像等アップするのは控えますが、全81問の問題形式。
ただ解答を出すだけでなく、期待最終順位という独自の指標で他の選択とを比較。それを会話形式で楽しく解説してあります。
爆打本『麻雀AI戦術 人工知能「爆打」に聞く必勝法』
— G・ウザク@2月17日東天紅ゲスト (@mjbook) 2018年2月7日
今回、私は全く関わっていませんw
校正屋視点から見ると、「こうした方がいい、ああした方がいい」ってのは、まだまだあるのですが、それをものともしないぐらい、楽しく役に立つ一冊だと思います。
超オススメ! 15日は本屋に走れ!
読みやすい、堅苦しくないのは間違いない。
麻雀上達には有用で、麻雀AIをへの好奇心を満たすには物足りない感じなのかな?
— ぷらちゃん。 (@plum_m_m) 2018年2月12日
麻雀本の一つとして買う層にとって有益なら、まずはそれが一番ではあるかな。
個人的には、麻雀AIについて多少なりとも深く知りたいのがあって買おうと思ったのだけど https://t.co/3c1zld0mB2
麻雀AI戦術 人工知能「爆打」に聞く必勝法 (近代麻雀戦術シリーズ) 水上 直紀 https://t.co/v3ujERfXqt @amazonJPさんから
— 平澤元気 (@hira_ajmja) 2018年1月29日
爆打本、じつは問題制作等々、ご協力させていただきました。多分みんなの爆打のイメージだいぶ変わるんじゃないかなーと思います。よろしくお願いします。
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コメント
ウザクは本に関わるようになってから斬ることがなくなってつまんないな
金貰って宣伝してんじゃないの?ってぐらい信用ができなくなった
昔のウザクみたいにバッサリ言ってくれないと
最近の本の評価は福地先生の方が信用できる
福地先生の問題点は一部の本しか評価しないところ
他にもレビューしてる人いるけど信用がな・・・
ウザクが匿名でやってくれないかな
ウザクって気づいても知らないふりするし
投稿: | 2018年2月12日 (月) 17時26分
>ウザクが匿名でやってくれないかな
>ウザクって気づいても知らないふりするし
無料でやってることなので、本人に、正直に書こうってモチベがないと(;^ω^)
やって得するもんじゃないので、一時期しかやらない方が普通なんじゃ?
投稿: 福地 | 2018年2月12日 (月) 17時34分
確かに紹介されてる問題でドラ8ピンは非常に切りづらい。4s切りそうな気がする、、、
投稿: | 2018年2月12日 (月) 18時02分
福地さんのAI本はいつ出るんですか?
投稿: | 2018年2月12日 (月) 18時08分
>福地さんのAI本はいつ出るんですか?
うう、まだ見込み立ってないです…><
投稿: 福地 | 2018年2月12日 (月) 18時09分
マジか・・・
結構良さそう・・・
やや後回しにする予定で、実際まだ先に買いたい本あるけど、多少優先順位上げるかな
(´・ω・`)
投稿: へむへむ( ´∀`) | 2018年2月12日 (月) 18時16分
福地先生はAI本よりサンマ本とホーリー本(の復刊)ですよね!
投稿: | 2018年2月12日 (月) 18時27分
ざーとらしいの意味が分からなくて検索したら80年代に使われたとか寒い死語であると出てきて笑った
投稿: | 2018年2月13日 (火) 00時06分
どういった方法でデータを出しているのか分からなければ信頼できないな
投稿: | 2018年2月13日 (火) 02時46分
ホーリー本は石井一馬の偏差値70本で代用できる。
ホーリー本にこだわる必要なし。
投稿: | 2018年2月13日 (火) 05時46分
へむへむさんを久しぶりに見た
投稿: | 2018年2月13日 (火) 07時59分
まあウザクにキレがあったのは一時期の何切るだけ更新sてた以前のことだしね、メカゼットンが会話劇やってたあたりかな
何切るの鬼とか校正の鬼とか言われてもようわからんわ
投稿: | 2018年2月13日 (火) 10時57分
うわ、要らね
投稿: | 2018年2月13日 (火) 23時23分
数が少ないけどZEROのレビューはいい。
自分が関わった本でもお構いなしに良い点だけでなく悪い点も具体的にレビューしてる。
投稿: | 2018年2月14日 (水) 18時08分
ウザクは自分が本づくりに関わるようになってから大人しくなっちまったな
まあそれは仕方のないことだけども
AI本は思ったより微差だったなぁとか、ここまで大差か等感覚のズレが発見できて面白かったですね
ただ、場況絡みの問題も多かったので(南場ラス目とか)平場ならこっちという結果も一緒に載せてほしかった感はありました
投稿: | 2018年2月17日 (土) 22時43分