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2017年8月 9日 (水)

【麻雀本】『「統計学」のマージャン戦術』を読んだ

「統計学」のマージャン戦術 (近代麻雀戦術シリーズ)を読み終えた。

みーにんさんのことだから、きついこと書いたら自殺しちゃいそうだし…と心配してたら、「もう自分の手を離れたので、売れなくてもそんなの知りませんよ」と開き直ってたので、安心して感想を書いていこう。

◆長所
・新規の使えるデータがいっぱい
・データが見やすい(絞られてる)
・言ってることがわかりやすい(文章の展開がワンパタ)
・数値で比較してるので、深く納得できる
・押し引きの項目は読んだ方がいい
・牌の危険度は素晴らしいデータが

◆短所
・前半の方は戦術の切り口が目新しくない
・文章の展開がワンパタで、複雑な話がない
・もっと説明してほしいところで話が終わる
・チェック問題の何切るに問題文がない、とにかく不愛想

◆編集者的な観点から
・本の作り方が稚拙
・立直、聴牌、和了、一向聴、降りなど、主要な麻雀用語が漢字
・手牌13枚が、横向きと縦向きが混在
・本全体としては2色なのに、本文中の牌は色なし
・表やグラフの処理が素人臭い
・表で赤字の数値はなぜ赤字なのか不明(本文中で説明されたものだそーな)
・表で数値の単位が示されてないものも
・表の下の脚注がたまに不足
・イラストも写真もなく不愛想
・学術っぽい雰囲気にしたかったのかもだけど、その雰囲気はない
・せっかく2色なのにマイナビっぽい、2色の効果が低い
・稚拙な誤植がちらほら
・本文の末尾にある「~~マニア向け」は、囲みにした方がいい
・数式が縦書きになってるのは駄目やろ
・いろいろ稚拙なので、これは合ってるの?誤植じゃない?など、余計な意識をさせられる
・みーにんさんが鬼の執念でチェックしてたから、データは合ってるだろってのが救い

◆総合
・内容は素晴らしい
・文章はぎこちない
・本としては稚拙

見た目はこんな感じ↓
Photo_5

みーにんさんの文章は読めない。
まだるっこしすぎて。

…というのがこれまでだったけど、これは読めた。編集者K氏との合宿の成果だと思われる。
ぎこちないけど、これなら読める。

みーにんさん本人は、「目新しい戦術は何もないけど、その根拠を知りたい人には役に立つ」と書いているが、自著の価値を本人がわかってない( ̄w ̄)プッ

前半の方、堀内本や旧みーにん本と同じ内容にすぎないって言いたいみたいだけど、より深く納得できる気がしたけどな。
局収支の数値を毎回出して、その数値を比較してるから、度合いがわかるんだわ。
データを取ってる本人なので、数値の使い方の自由度が高い感じがする。

押し引きの項目では、面倒だと思わずに、結論だけじゃなく、数値の説明をちゃんと読んでいった方がいい。
局収支って、あまり大きな数値にならず、しょせん1000点とか2000点の比較なので、リー棒を出すか出さないかの差がいかに大きいか、場にリー棒が2本出てる場がいかに突っ込み得か、みたいなことが読んでるうちにわかってくる。

数値で説明されているうちに、押し引きの構造ってものが見えてくる感じ。
大きな枠組みを理解しての暗記じゃないと、使える暗記にはならない。

3章、「牌の危険度」は素晴らしい。
これは表をじっくり読み込むリテラシーが求められる。

具体的には、

当たったときの失点の大きさまで含めた危険度ランキング↓
Photo

これは初めて見た!
総合的な危険度のランキング。
やっぱ、ション牌の役牌ドラより、ど真ん中の方が危ないんだな。
これは体感を裏切ってない。

リーチに対する数牌の巡目別危険度↓
Photo_3

これもすごい!
ダブリー等の早いリーチには、筋の3を切るより端の19を切った方がいいことがわかる。
無筋456のヤバさもわかる。
蛍光ペンで色分けして、大きな分散傾向を頭に入れるのがベストっぽい。

こういうのを見ていると、人間の戦術もAIっぽくなってくるなーと思われるわ。

リーチ宣言牌と同じ色の数値別危険度↓
Photo_4

これまたすごい!
危険牌の分散の構造が数値化されている。
10%超えはどれなのか、読み込むと構造がわかってくるんじゃ。

アンコの危険度↓
Photo_2

これは知識としては知られてると思うけど、数値で見ておくと違うと思う。
単なる無筋の五筒:麻雀王国とアンコの五筒:麻雀王国では、当たる確率が2%しか違わないと。
これはマジですか?もうちょっと当たりそうな…って感じなので、牌譜でアンコの当たる確率を手作業で1時間くらい見ていってみると、納得できるのかもしれないね。
いかん、データを疑う系のことを書くと、みーにんさんが切れてしまうかも><

……てな感じで、後半の内容は素晴らしかった。
新規の戦術が山ほど眠ってるデータ群だったわ。

ネマタ本や堀内本の後ろにはこの人がいたのねって感じさせる本だった。

つーわけで、

・内容は素晴らしい
・文章はぎこちない
・本としては稚拙

という結論。

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コメント

いきなり内容がすげー濃くなった(笑)

投稿: | 2017年8月 9日 (水) 11時20分

>いきなり内容がすげー濃くなった(笑)

こんなもんを書いてる場合じゃ…><

投稿: 福地 | 2017年8月 9日 (水) 11時22分

科学する麻雀みたいに
おしえてバージョンを作ったほうがいいと思う
せっかくいい内容なのにみにくいのはすごくもったいない
この本少しでも口出しして改善させてればすごくいい出来になったと思うだけに残念

投稿: | 2017年8月 9日 (水) 11時39分

>科学する麻雀みたいに
>おしえてバージョンを作ったほうがいいと思う

別に読みにくくはないw
ただ稚拙なだけ。
「科学する麻雀」は超絶難しかったから、あれとは違う。

投稿: 福地 | 2017年8月 9日 (水) 11時43分

サイン会と麻雀大会はいつやるんですか?

投稿: 西新井 | 2017年8月 9日 (水) 15時35分

前の本も誤植たくさんあったし別に驚かないよ
有用なデータいっぱい乗ってるのがなにより重要
前の本の時もそうだったけど、仮に今回もあれこれ間違ってても後からブログでここが間違ってましたって全部説明する記事あがるだろうし問題はない

投稿: | 2017年8月 9日 (水) 17時53分

デジタル系の本読んで毎回思うんだが、何でリーチ者に対する牌の危険度を順目で分けるんだろ
重要なのは順目じゃなくて「残り筋の本数」と「愚形率」じゃないの?

ターツ落とし、リーチ前に切られた中張牌の数、手出しされたオタ風や2枚切れ字牌、宣言牌の種類等から愚形率を統計で割り出して、後は1/18理論と見えてる枚数で危険度の近似式作った方が正確じゃない?

投稿: | 2017年8月 9日 (水) 21時20分

俺は大量のデータと少しだけ解説があればムフフできるからええわ。

投稿: | 2017年8月 9日 (水) 21時57分

愚形率かあ…

そんなん今まで
考えもしなかったけど

(トイツ落としリーチ
→ヤバい!

字牌切りリーチ
→ヤバい!!
くらいしか思ってなかった…)


良い考え方かもしれないですね!!

投稿: T黒沢 | 2017年8月 9日 (水) 22時35分

データすごそう!
ちゃんと読んで使えそうなデータを頭に入れて、フリーとかで戦術として使いこなせば、フリーのおっさん達と大きく差を広げられそう。
めんどいけど、読んでみるか。

投稿: くろちゃん | 2017年8月10日 (木) 05時20分

>前の本も誤植たくさんあったし別に驚かないよ

前の本は、誤植といえるレベルのものは3つか4つだった。
多くはない。

投稿: 福地 | 2017年8月11日 (金) 05時09分

ブログで取り上げたらアマゾンランキング一位かw

福地さんの本も案外、このブログで売り上げにつながってるのかもねえ。

投稿: | 2017年8月11日 (金) 09時51分

スジのことみーにんさんブログで回答してるね
質問者に通ったスジの平均が載ってるだろとか適当な反論しなくて良かった

投稿: | 2017年8月12日 (土) 10時08分

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