【つぶ】本はなぜ安いのか?
本ってなぜ安いのか?
そんな問題について、つらつらと考えてきたけど、なんとなく見えてきた気が。
1.世の中って、本に対して厳しい…ように感じられる。
・値段に関する感覚。
・ミス(誤植)があったときの感覚。
・けっこう金をかけてデザインしたりしてるのだが、それに対する評価。
2.その一方で、世の中って、本を立派なものとみなしている…と思う。
・著者は先生と呼ばれる。
・一度は本を出したい人が山ほど。
・中身がどうか、売れたかどうか、そういうのは抜きで、本ってだけで立派風。
本って私企業が営利のために出すものじゃなく、公共の利益のために出すっていうのが暗黙の了解なんじゃなかろうか。
そういえば、最近の本では見かけないけど、昔の本(たとえば角川文庫)には大義のために出版する的なことが書かれていた。
だから、利益を追求するのは汚いとされ、価格はほぼ同水準。
食い物だったら、安い肉を使った料理と、松坂牛を使った料理は値段が数倍は違って当然だけど、本はネタがいくらすごくても値段は変わらない。
本って、暗黙の了解として、公共のためのものなんだな。
社会のインフラ。
感謝されるし、尊敬もされる。
でも、金銭的な対価は低い。
評価は金銭には換算されず、純粋な評価のみ。
小説や漫画が映画化、アニメ化、ドラマ化されたとき、ろくな原作料も払われず利益を独占されようとするイメージあったけど、原作は公共のインフラだとすると納得がいく。
俺は路上即売会をやってて、「先生の本で勝てるようになりました。ありがとうございます」って、ものすごい回数言われてきた。
これって商行為として考えると不思議なこと。
対価を払って買ってるんだから、内容が良くてもお礼を言われるのは変だよね。
たぶん、本の値段って入場料みたいなもので、中身の価値はお金に換算されないって感覚があるんだろう。
差し入れとしてクオカードをもらうとか、ふつうの商サービスの送り手側としては相当珍しいことじゃないかと思う。
あれは聖職者に対する喜捨みたいなものなんだろう。
そういう本の性質がある一方で、情報の価値には真逆の原理が働いている。
希少なものほど価値があるという。
情報商材はいかがわしいってイメージがあったけど、「犬の飼い方」や「外反母趾の治し方」が馬鹿売れしたって話を聞いて、認識を改めた。
いかがわしくねーじゃん。
情報って、知られてないほど価値が高い。
本は公共のものだから、読んでいる人数は少なくても、本として出した時点で情報としての価値は下がっている。
情報商材だと立ち読みもないし、見る人が限定されている。
情報商材には古本として流通するイメージないから、財としての価値はなく、純粋に情報って感じがするし。
そんなふうに考えると、出版をビジネスとしてやる行為のズレ加減を感じる。
本は、大義のため、名誉のために作るもので、ビジネスで作るものじゃないんだな。
本って、他業種を本業にしてる人や一度は著書を出したい人が出すべきもの。
本を出すことを本業にするのって、聖職者になろうとするのに近い。
俺はここ3年くらいは本を出すことを本業にしてきたけど、そのズレ方がようやくわかった。
ビジネスはやらず、徳を積んできたんだな。
印税の少なさにはいつも感心?されてきた。
【麻雀本】ウザク本2の印税額で来賀さんが言ってたのは正しくて、本を出すのはプロの仕事ではなく、聖職者としての行為だったという。
聖職者を本業にする人たちは、もちろん変わり者的にいるわけだが。
俺は他に本業があるわけでもないのに、徳ばかり積みすぎた感。
出版社社員はどうなのかもずっと考えてるんだが、こちらは名誉行為の代行業者で、ビジネス寄り。
少なくとも、先生とは呼ばれないよな。
ただ、価格設定などが封じられているから、純粋にビジネス側とも言えない。
大学職員みたいな感じか?
真面目に手間掛けて作るほど名誉側になっちゃいますよね。例えば競馬本はどれだけ手間と時間を掛けて内容濃くしても2万部も売れないけど、その逆で一定期間棚に並べることさえできれば2千部近くは売れるので、いろんなペンネームで年10冊粗製乱造するのが真の勝ち組という構図はあります…
— 半笑い/高見直人(NPM関西) (@han_Warai) 2017年8月28日
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コメント
自分が思うのは本を出すっていうのはミュージシャンがCDを出すことに近いのかなって思う。
売れなかったら苦労の割には収入は少ないけど、大ヒットすれば大金が手に入る。
だから売れるまで必死に頑張るのかなと。
投稿: | 2017年8月28日 (月) 13時52分
>売れなかったら苦労の割には収入は少ないけど、大ヒットすれば大金が手に入る。
昔はそうでしたけど、今はそうじゃないですね。
小説、漫画などの世界は今もそうですけど、それ以外の分野は狭いニーズに沿ったものを出すので、爆発的に売れることはありません。
投稿: 福地 | 2017年8月28日 (月) 14時00分
自分が知ってる人は本を少し書いて、興味ある人たちを閉鎖SNSでつないで月々5千円だか払わせてその閉鎖ネットワーク維持で稼いでましたね。
ある意味うまいと思いました。本の評判は大したことはなかったです。かなり有名な経営コンサルタントは、やはり本を書いて集めた見込み客に数十万の講義DVDやCDをプレスして売ることで稼いでいます。その方の中身は本物ですが。
先生は本気で稼ぐならば、先生のファン中心にそういうものを作ったら安定すると思いますが
先生の本の出版の心意気をみたら、こういうのは嫌いそうですね。
だからファンが多いとも言えます。
投稿: | 2017年8月28日 (月) 14時09分
>先生の本の出版の心意気をみたら、こういうのは嫌いそうですね。
ありがとうございます。
まあ正直、閉鎖するのはけっこう嫌いですね。
このブログも日中英の3か国語にしたいくらいで、可能な限り公開していきたいです。
投稿: 福地 | 2017年8月28日 (月) 14時30分
ある分野で著書を数冊出せばその分野での専門家とみなされる
その信用をベースにして著作以外の形で専門分野をビジネスにできる
福地ブログにときどき名前が出てくる勝間和代はfb、ツイッター、ブログ、メルマガなど公開、非公開を使い分けている
福地は話が下手なので動画サイトで金を生み出すのは無理そうだが
活字分野なら著書以外でもなんとかなりそうな感じ
投稿: | 2017年8月28日 (月) 14時39分
>福地は話が下手なので動画サイトで金を生み出すのは無理そうだが
>活字分野なら著書以外でもなんとかなりそうな感じ
自分でもそんな気がw
投稿: 福地 | 2017年8月28日 (月) 15時48分
対価を払っているからお礼を言われるのは変、なんてことは全然ないでしょ
投稿: | 2017年8月28日 (月) 16時24分
>対価を払っているからお礼を言われるのは変、なんてことは全然ないでしょ
俺は食い物屋で、うまかったとき、「うまかった」と感想は言うけど、お礼は言わないなー。
それは筋が違う感じがするw
サービスしてもらったらお礼を言う。
投稿: 福地 | 2017年8月28日 (月) 16時30分
電子書籍が、もっともっと一般的になったなら「本ってだけで立派風」という感じはなくなるかも?
投稿: | 2017年8月28日 (月) 19時29分
出版は社会に対する貢献、みたいなのを言ってたのって角川よりむしろ、講談社とか岩波じゃない?
講談社は出版物にそういうの書いてる。
投稿: ウォッチャー | 2017年8月28日 (月) 20時08分
金の得かたの方は、このブログに広告は載せれば?
自分の書きたいように書いていて、それで広告載せてって言ってくる所の広告だけ載せる。
投稿: ウォッチャー | 2017年8月28日 (月) 20時16分
日本は外国に比べて本が安い、と聞いたことがありますが本当でしょうか。それでも、私の学生時代(20年くらい前)を考えると文庫本なんかはかなり高くなっている印象です。昔は300~400円くらいだったかと思いますが、近ごろは600円を切る本もなかなかありません。古本屋で買った本の定価をみて驚くことが多々あります。
新刊本はあまり変わっていない印象もありますが。
投稿: あれっくす | 2017年8月28日 (月) 20時27分
うーん…
対価を払っているからと
言われるとその通りなんですが
やっぱり本を買った人達が
対価以上の価値を感じているから
感謝が生まれるのではないでしょうか?
あと「科学する麻雀」と
「教えて科学する麻雀」
との比較で分かりましたが
先生の本は役に立つ知識を
俺みたいに頭の悪い人間にも
分かりやすく書いてある!
っていうのが大きいと
思いますよー
投稿: T黒沢 | 2017年8月28日 (月) 21時11分
単に同じような値段でないと売れにくいからだと思いますけどね。
コミックス、文庫本、シングルCD、アルバムCD、DVD、映画等、見る文化はだいたい似通った値段じゃないですか。
投稿: | 2017年8月29日 (火) 00時46分
麻雀界は一昔前だとお金払って買って読んでも勝てない本のほうが多く発売されてたんだから仕方ないね
投稿: | 2017年8月29日 (火) 05時58分
大量生産できらからじゃないの?
投稿: わん | 2017年8月29日 (火) 18時25分
>わんさん
この前、ロッキンのことで聞きたいことがあって、電話しようと思ったら、携帯が壊れたときに連絡先が消失してて、電話もラインもできなかった。
なんか連絡方法ちょーだい。
投稿: 福地 | 2017年8月29日 (火) 18時30分