2つの立場がある。
とある人は、働くようになって役立ってるのはバイトの経験。
勉強よりよっぽど。
そんなことを言う。
とある人は、学生時代は勉強が本業。
バイト経験を推奨するなど的外れもはなはだしい。
そんなふうに言う。
どっちが正しいのか。
じつは、この正反対の意見って、言う人の職業によってはっきり分かれる。
前者はかならず民間。
小企業はほぼこっち。
自営業、自由業などは99%こちら。
後者は公務員や、NTTみたいな超巨大企業の人。
お役所的な団体職員などもこちら。
あとは理系の人。
ふつーの中~大企業のリーマンは、どっちもいる。
やや前者寄りかな。
ただ最近は、学生が真面目になるにしたがって、バイト推奨派は時代遅れになりつつある印象だ。
つまりね、学生が将来どっち系の職種に就くかによって、バイト経験は正反対の評価になる。
だから一般論としては意味がない。
いや、意味がないというより、こういう問題の立て方は嫌いなんだわ。
前者には、自分の経験が誰にも通用すると思っている楽天的な傲慢さを感じる。
後者には、世の中は決まりで回ってる的な、お役所的な思考を感じて。
世の中って、そーゆー側面はせいぜい半分くらいだろ。
日本の大学って、国家に必要な人材を養成するため、明治時代前半にあわてて作られた。
医師とかね。
だから、国が養成する必要を感じなかった職種に関しては、役立つコースがない。
商売する人とか。
文系学部ってリーマン養成所みたいに言われるけど、実際のリーマンからしたら、たいして役立つことやってないでしょ。
じつは対象外だから。
ビジネスなんちゃら学部みたいなのって、国立大学にはなくて、最近になって増えたもんだよね。
だから、国が養成する系の仕事に就く人には大学の勉強って役立つけど、そうじゃない人は、自分で体験したり勉強するしかないんだよね。
制度の根本からして。
これは大学だけじゃなくて、小中高まで根本は同じ。
シビアなビジネスの現場で生きてる人が、自分の子どもを入れたい学校を探したとき、国内には全然ない。
民間のことは基本的には対象外だから。
学校の勉強は、なぜあんなに役立たないのかって、よく言われる。
たとえば数学。
小学校の算数はむっちゃ役立つけど、中学以降の数学って大半の人にとっては一生使わないでしょ。
そんなことを勉強するより、借金したときの複利の計算とか叩き込まれたほうが、よっぽど役に立つ。
住宅ローンの仕組みとか、リボ払いのシステムとか。
これは昭和20年代に教育学上のでかい論争があって、生活に直結する知識派vs思考力の養成派で論争した結果、思考力派が勝った。
だから、方程式やらの実用性ない勉強を、えんえんとやらされることになった。
民間派に公務員派が勝ったわけだ。
体育って科目が作られたのは、日清戦争から日露戦争と、戦争ばっかしてる時期のこと。
兵隊に取ったとき、最低限の体の基礎はできてねーと困るぞって理由からだった。
これは、かなり効果があったらしい。
それ以前は、ラジオ体操レベルもできないガキがいっぱいいたんだろーね。
まー、そんなウンチクはいいや。
本題は、学生時代のバイト経験は役に立つかだ。
最近あまり見なくなったけど、以前はこの問題について、新聞などで、面白い職業の人に体験コラムをよく依頼してた。
映画監督とか。
すると、かならず学生時代のバイト生活が、いかに今の仕事に直結してるかって話を語る。
でもね、そーゆー仕事に就いてる人は、よく言えば天才、悪く言えばそれしかできない馬鹿、ニュートラルに言って特殊な人だ。
それを一般化してもしゃーない。
俺のダンスの先生は、大学のHPの卒業後の進路って項目に、ダンサーって書いてあった。
かっこよすぎだが、どう見たって一般的じゃねーよw
ホリエモンみたいな人は、どんな時代だって、自分の才覚でどうにかするでしょ。
でも、みんながホリエモンみたいに生きられるかといったら、そんなはずはない。
漫画の「課長島耕作」に、学生時代は肉体労働のバイトばっかでって話が出てくるけど、あれは大学進学率が10%前後だった世代の話だから、苦労話を装った自慢話にすぎない。
若い人は、好きなこと、やりたいことを仕事にしたいという夢を描くと同時に、そんな途方もないことが可能なのかって疑問を抱く。
多くの人が通る道だ。
答えなんかあるわけない。
結局どういう道に行くかによって、それまでの経験が活きるかどうかは正反対だ。
俺は、やりたいことをやるしかないんじゃね、人生ってそーゆーもんだろって思うけど、これも、なんとかなった立場ゆえの傲慢さかなーとは思う。
自分の娘1号に対しては、バイトしろともするなとも言わなかったな。
大学以降は、ふつーよりほんの少し多めのこづかいをあげるように意識した。
以上は大学時代のバイトの話。
話長すぎなんだが、高校生の場合は事情が大きく違う。
教育の本に書いた話なんだけど、以前知り合いが言ってたこと。
「中学生の娘に、高校に入ったらバイトしまくって、携帯代も自分で出しなさいって言って聞かせてるの。
自分も高校時代はバイトばかりで、学校には寝に行ってるようなものだったけど、そのときの経験が今もすごく役立ってて、それは一生の財産だと思ってる。
学校では学べないものを学べるからって」
この発言を聞いたとき、職業が再生産される瞬間を見たような気がしてしまった。
高校生が、夏休みなどの単発バイトならいいけど、定期バイトするようになったら、将来は高い確率で、販売などの非正規雇用職になる。
受験勉強って馬鹿にならないとできないもの。
意識的であれ無意識であれ、大学に入学するまでは、温室を出ないほうが得するのが日本の教育制度だ。
自分で稼ぐって、温室を出て野性になることで、そうなったら受験勉強なんて馬鹿馬鹿しいことはやってられない。
金のありがたみを知るってのは、大人になること。
彼らは大学に行く人たちよりも一足先に大人になるんだよね。
ホリエモンの学歴が高校中退だったとしても、彼は同じような生き方をしてるだろうけど、今よりも苦労は10倍多かったろう。
つーわけで、自分自身の経験も書いてなくて、この問題に関してはいくらでも語れるんだが、もういいかげんにしとこう。
なぜ、今になって教育カテゴリなんて書いたのか。
理由は2つあって、ひとつには、ツイッターで知り合ったニセ弟とのきっかけが、この問題に関してだったから。
ツイッターで、学生時代のバイトは役立つか論争やってて、俺はそんなの職業属性によって正反対だよってツイートした。
公務員系と自営系を両極端として。
そのツイートがすごくリツイートされて、そのときが、ニセ弟との最初のやり取りだった(おぼろな記憶では)。
そして、もうひとつの理由は、例によって仕事からの逃避ですね><
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