【つぶ】生涯ネガティブ
俺が初めて本を書いたとき、それはイージーな内容の企画本だった。
当時、俺はまだ駆け出しのライターで、いろんなことに全然自信がなかったので、気休め的に、ゴーストライターみたいな人を3人も頼むという愚かな選択をした。
自分で納得いく内容は自分で書くしかないので、結局は、書いてもらったものをろくに使わなかったんだけどね。
途中で担当者から、その企画が途中でぽしゃる可能性が…ってチョロッと言われ、それが俺の中でふくらみ確信に変わった。
これは絶対にぽしゃって、俺に金は入らず、しかし俺は自分が頼んだものだから、ゴーストの人たちに金を払って大損する。
そんなことになったら、その出版社を許せないから、それをきっかけに、その会社とは絶縁に陥る。
そんなふうに確信していた。
あとから考えたら、むちゃくちゃ被害妄想的な未来予想なんだけどね、そう思ってしまったんだからしょうがない。
だから、その仕事を進めるのは、ものすごくつらかった。
自分の棺おけを作っているような気がして。
自分なりに真面目にやってきたつもりだったのに、お前らは俺に棺おけを作らせて、そこに入れようとするんだな。
そんな気分だった。
他人から見たら愚かな妄想なんだけどね、金がない人にとって、ある程度の金を失う恐怖って、冷静な判断を狂わせるものがあるんだよな。
似たようなイージーな企画本で、途中でぽしゃって、ゴーストみたいな人に俺が金を払ったという、そっくりなケースをすでに経験していた。
また別の仕事で、自分への入金は3ヵ月後なのに、人を雇って給料を払ってたから、ちゃんと働いてるのに、どんどん金がなくなって借金生活に陥ったこともあった。
会社を作ったわけでもないのに。
「なんで、そんなふうに抱え込むん?」と聞かれそうだけど、そういう金の面倒を抱え込んでくれる姿勢だから、あんたら俺に仕事を依頼するんでしょと思ってた。
自分の能力などが評価されていると思うようになったのはずいぶんあとの話で、ただ便利だからでしょという気持ちは強かった。
さて、棺おけの本だが、3回発売延期になった。
2回は担当者のせい、1回は俺のせいだった。
担当者もその仕事の存在を途中で忘れちゃってたので、彼もやりたくなかったんだろうね( ̄w ̄)プッ
催促されたのは締め切りをとっくにすぎたあとで、いやいや、そんな締め切り聞いてねーしというグダグダぶりだった。
ぽしゃった場合の金の責任を俺に押し付けてくるだろうってのは、担当者の保身的な姿勢からくる予想だったけど、その姿勢は嫌いじゃなかった。
むしろ、働くのって大変だよねとシンパシーを感じてた。
彼には自分と似た感じの駄目さの臭いがあって( ̄w ̄)プッ
本を作る段取りとか何もわからなくて、台割も作らなかったし、ページレイアウトもなかった。
ただひたすら文章を書いてたら、必要な量の3倍も書いてしまってて、あとから3分の2を削った。
すごくつらかったけど、しょうがないから、自分の棺おけを作る気持ちで、夜中に書いた。
当時は昼はリーマンだったので、夜中しか仕事できなかった。
とにかく、いろんな意味でダメダメだったけど、結果は別。
その本はちゃんと発売され、ものすごく売れて、いっぱい金をもらった。
でもね、儲かったという気持ちはなくて、ひたすらつらかった思い出しかない。
この件じゃなくても、つらかった思い出というと、内容とか人間関係よりも、金関係ばっか浮かぶな。
食い物の恨みって言葉があるけど、金の恨みってすごいよ。
まぁ、恨んではないんだが。
その棺おけの本からずいぶんたってのことだが、同じ会社の仕事で、あるとき、定期的にやってる仕事のギャラをいきなり半額に切り下げられたことがあった。
おそらく単なるミスなんだけどね、俺はミスってますよと伝えることなく、これが俺の評価だよなと、以後ずっと半額になった水準に甘んじた。
また別の定期仕事を依頼されたとき、今の金額じゃ嫌なので、元通りとまでは言わないけど、中間くらいの水準まで回復させてくれと交渉した。
ミスって半額にしてたことに気づいて、相手はあわてていたけど、俺が怒ってないし、元の水準に戻せとも言わないから、いいのかなって感じで、俺が頼んだ中間くらいの水準になった。
そのときね、相手が全力で謝罪して、俺に払ってなかった分も全部払うし、元通りの水準にすると言ったら、俺のいじけた気持ちも水に流せたんだけどね。
客観的に見たら俺が勝手にいじけてるわけだけど、俺の奥底には、自分が評価されるはずないって強固な確信があるんだな。
自分が愛されるわけないって確信してる小娘みたいな感じで。
俺の麻雀の本を読んでる人からすると、俺にはドライでロジカルな印象があるかもしれないけど、俺の思考原理って、嫉妬とか恨みとか不信とか憎悪とか不安とか、女性週刊誌的なものだと思う。
つか、俺に限らず、人って合理的なもんじゃないし、前向きなもんでもない。
俺が文章で合理のことばかり書いてきたのは、そういうものが求められていると思ったから。
考えに考えてロジカルな説明を思いついたテーマだけ扱ってきたにすぎない。
たまたまね、人より頭が良くて合理が得意だったから、そうしただけ( ̄w ̄)プッ
合理なんて吹けば飛ぶようなもんだ。
つーわけで、俺の中で、女性週刊誌的な感情のうち、何が一番行動原理になってるのかっていったら、劣等感って気がするな。
前向きな理念とか、いっさい信用せんわ。
※なお、過去の恨みつらみみたいなこと書いたけど、別に恨んでるわけじゃないですから。
親子関係みたいなもんで、関係が長く深くなればいろいろあるさ。
むしろ、ネガティブすぎてごめんって気がするわ( ̄w ̄)プッ
われながら、大昔のことを忘れずにネチネチと、やなやつだわ( ̄w ̄)プッ
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コメント
俺も福地センセーと同じでゆーみんとちゅっちゅしたいがために連盟に入ったこと、すげぇ失敗したと思った。十段戦だってオワコン同然の小島センセーですら進めるわけだし。いっそ俺に九段戦Sシードくれればちゃちゃっと十段位くらい獲ってくるのに・・・・・・・。俺は連盟の思想統制に囚われて天鳳リアトラにすら出られないのに、こんな不条理ないわ。
投稿: 山本拓哉 | 2013年7月29日 (月) 09時08分
SPA読み過ぎなんじゃない?
投稿: | 2013年7月29日 (月) 11時52分
みんなこんなネガティブオッサンの本をありがたがってるのか…
投稿: | 2013年7月29日 (月) 12時02分
長いわ
↑こんなかんじでいい?
投稿: | 2013年7月29日 (月) 13時39分
こういう記事が面白いなぁ
昔の福地先生のブログとか読み応えがある
投稿: | 2013年7月30日 (火) 05時04分
ホント昔の方が読み応えある
おれ、素晴らしかったときはセンセのブログ印刷して机の前の壁に貼ったりファイルに綴じたりしてるんだけど
けど最近はあんまない
俺の"ザ・ブック"に新たなページを頼むよ福地先生よ!
投稿: ちんこラヴァー | 2013年7月30日 (火) 12時17分