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2009年4月27日 (月)

【本】『セブン-イレブンの正体』

セブン‐イレブンの正体セブン‐イレブンの正体

著者:古川 琢也,金曜日取材班
販売元:金曜日
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セブン‐イレブンの正体という本を読んだ。

取次最大手のトーハンによって書店取次ぎを拒否されたことで有名になった本。セブン-イレブン・ジャパン会長の鈴木敏文氏が、トーハンの現副会長でもあるので取次ぎを拒否したのだ。

大きな問題点は以下の2つ。

・売れ残りの弁当などの廃棄分の損失を加盟店オーナーに押し付ける、通常の会計では考えられない「ロス・チャージ」会計

・加盟店オーナーは独立事業主であるにもかかわらず取引先業者からの請求書を本部がオーナーに見せないという異常な実態、またそれによって明るみになりつつある「不当なピンハネ」問題

セブン-イレブンは同じ流通のイオンなどと比べて圧倒的に利益率が高い。こーゆーピンハネを構造化するシステムでもないと、そこまで儲からないよなと思う。世の中って、けっこう単純なイカサマがきくんだよな。ホントろくでもない。

ただね、議論としてはちょっと総合的でなさすぎる。訴訟が何件起きていて、利益を出している店舗が何店あってという全体像がない。この裏側の構造だけをもって、「セブン-イレブンの正体」というのは、十分ではない。ろくでもない会社であることはたぶん事実なんだと思うけど、その一方で長所もあるはず。単純なぼったくりでずっと上手くいくほど世の中は簡単じゃないでしょ。

最終章である弁当作り工場への潜入ルポの結びの部分が面白かった。以下転記する。

 * * *

 取材を通じて、現役、元職を問わず多くのセブン-イレブンのオーナーと知り合ったが、そのひとりである元オーナーが言っていた言葉を思い出す。
「セブン-イレブンなんて会社は、いずれこの世からなくなるよ」というのだ。
 一消費者の視点からすると、これだけ日本人の生活に根付いた会社が消滅するというのは、とても考えにくい。だが考えてみればたしかに、セブン-イレブンほど巨大でありながら、実際は何もしていない会社というのも他にないだろう。
 店舗経営の全責任はオーナーに押し付け、配送業務も外注。売っている商品にしても、わらべや日洋のようなメーカーに作らせたものを、さも自社製品のように見せているに過ぎない。店舗やトラックを見れば、もれなくあのロゴマークが付いているせいで、我々はつい「セブン-イレブン」という巨大な総合企業があるかのように錯覚してしまうのだが、あれらはそれぞれ別の独立した会社が、「イメージ統一」のため付けさせられているだけなのだ。
 ではセブン-イレブン本部が何をしているかというと、控えめに言ってもコンサルタント業務をしているに過ぎない。元オーナーも、「ロスチャージ、そしておそらくはピンハネ。この二つがなかったら、コンビニ本部はあんな巨利を得ることはそもそもできないはず」と指摘する。
 小売業界にひとつの「伝説」を打ち立てたセブン-イレブン。だが、その土台に目を遣れば実は驚くほど脆い。本書を最後まで読んでくれた方であれば、そのことを十分に理解していただけたと思う。

 * * *

儲かるとはどういうことなのか考えさせられますな。

会社が儲かるためには「何か」がないといけない。規模がでかかったら、多くの場合は「技術」か「情報」だろう。セブン-イレブンの場合は、リスクがあるものはできるだけ自前で抱えないようにしたフランチャイズシステムだよね。

でも、ものすごくスピードが上がった現代において、技術の優位性というのは危うい。そんな会社は小規模じゃない限りまずない。

フランチャイズシステムってのは、10年か20年やって、食い逃げするシステムじゃないかって思える。残業代を払わなくていい人材を大量に抱えられるし。

そして以前は「情報格差」がでかかったけど、ネットの発達とともに、その差はほとんどなくなってしまった。たとえば、10年前だったら、金融のプロとアマとでは入手できる情報量が違っていたけど、今では(たぶん)もう差はない。

中谷巌氏が、資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言という本を書き、過去の自分は間違っていたと懺悔した。著者はかつて政府の中枢に入り、金融資本主義、新自由主義の旗振り役を務めてきたが、その行動は間違いだったと。

この本が、無責任すぎると総叩き。経済・宗教・環境・人権・政治などの多面的な議論で、過去数年の世界の流れを理解するためにはいいが、オリジナリティ皆無。これを著者の姿勢の問題としている人が多いけど、ぼくからするとプロアマの情報差がなくなっている事例のひとつじゃないかとも思える。どんなジャンルも同様で、そこらじゅうに高速道路が敷かれたんじゃないかね。

商売の規模が小さくなると、「個人の能力」「アイデア」「立地」「仕入れルート」などの優位性もある。でもね、たとえばぼくが400円のジャガイモ炒め丼に特化した食い物屋を開いたとしよう。もしかしたら初期はすごく儲かる。でも、そうなったら他社が参入してきて、じゃがいもは美味いという情報の格差は失われ、技術や仕入れなどの総合力勝負となる。アイデアで勝てるのはわずか1年。ずっと勝ち続けることって可能なんですかね?

いかん。話が曖昧な方向に拡散してるな。

なんで仕事がやばくなると本を読みたくなっちゃうんでしょ?(>_<)

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コメント

裏を暴くよりこう改善してやったぜって例の方が下々的には嬉しいんですが
挑戦的な内容にしては、やってる事はあっさり風味?

投稿: しゃみ | 2009年4月30日 (木) 04時08分

 プライベートブランドが実は外注、ってのはどこもそうだと思います。別にセブンイレブンだけじゃない。
 情報にしても、「情報を手に入れるスピード」の格差はなくなったかもしれないけど、「情報を元に、それをソッコーで活かすシステム」の差は厳然と存在すると思います。で、セブンイレブンはそういうとこ優れてるんじゃないですかね?

 ピンハネ云々は、はじめて知ったので驚きました。

投稿: Kevin007 | 2009年4月30日 (木) 08時17分

セブンイレブンの話というよりはそもそものフランチャイズの話。

L○Aが作り出した、リスクのない責任転嫁事業モデルは世の中にたくさんありますしね。

でもこの本はあちらこちらで拒否られているって話を聞きました。

投稿: 顕微鏡の顕 | 2009年4月30日 (木) 08時59分

儲け続けることって、これからさらに難しくなっていきそーなのかな・・

投稿: ゆう | 2009年4月30日 (木) 11時13分

個人的にはセブンがどうやって儲けてるかよりも
先生がどうやって儲けてるかの方が興味あります(笑)

あと先生に「雀荘の正体」って本とか作って欲しいかも(笑)

雀荘の利益、経営の仕組みとか実態とかの内容で
買う人いなそうですけどww

投稿: Hisaking | 2009年4月30日 (木) 12時46分

じゃがいも炒め丼の店出して借金ちんこも大金持ちや!

投稿: | 2009年4月30日 (木) 15時14分

じゃがいも炒め丼の店出してちんこも大金持ちや!

投稿: | 2009年4月30日 (木) 15時15分

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