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2008年9月13日 (土)

【教育】低年齢留学

ぼくの近刊を目にした若草まやさんという方が、ご自身の著書を送ってくださった。『5歳6歳スイス留学大作戦 ボーダレスな世界で生きられる子供たちに』という本。低年齢留学のススメといった内容。

若草さんは、二人のお嬢さんが5歳と6歳のときに、スイスのボーディングスクール(全寮制学校)に留学させた。明治時代の津田梅子6歳と並び、国内最年少留学とされているとか。この本はその記録であり、低年齢留学について考えるための資料となるように作られている。

すぐ読んで、その是非を巡ってしばらく考え込んでしまった。

ここで話が飛ぶようだけど、最近、麻雀では何回打てば実力を確かめられるのか回数が問題になっている。その回数は予想以上に多く、普通の回数では実力の確認はできないことがほぼ判明している。わずか5回や10回で決着をつけようというタイトル戦など笑止というわけだ。

子育てや人生にも同じことが言えるのではないか。子育てにしても人生にしても、麻雀と同じくらいランダム性が強く、そもそも、どうなったら幸せかという評価基準すら主観になる。

とはいえ、それならほったらかしでいいかといったら、そういうわけでもない。やはり考えうる限りベストの選択をするのが正解だろう。人生こそ運であり成り行きなので、それがいい結果に結びつくかどうかは何とも言えないけど、やはり一番よさげな選択というのはあって、低年齢留学はそうじゃないかと思われた。現時点で親が選択しうるベスト環境なんじゃないか。金かかるけど。

著者・若草さんは、お受験ルートと留学ルートを比較していて、お受験ルートより留学ルートのほうがいいとする。同様に思う親が増えているようで、低年齢留学に興味を持ち彼女の講演会に来る人には、自分はお受験ルートの成功者であり、留学等の海外経験を持っているという共通点があるという。

これは学校を国内で探す時代から世界で探す時代に入ったということだ。そのとき国内ルールと世界ルールが違ったら、以前は国内ルールを優先するのが普通だったけど、今は世界ルールを優先するようになりつつある。その低年齢化に特徴がある。言語の習得の面など、メリットは大きい。

もちろん条件があって、経済的には最低でも年300~500万円はかかる。そして、経済的に可能なら選ぶべきかといったら、そんな簡単なものではない。幼児期から「将来は外国に一人で行って勉強するんだよ」と話して聞かせるなど、親子ともに覚悟を作っていく必要がある。また子ども自身のタイプも大きいんじゃないか。可能な子は少数派である厳しい道に思える。

印象的だったのは、こんな箇所。

 * * *

日本ではたいてい「そんな小さいのに、かわいそうに」と否定的にとらえられ、時には、親の役割を放棄しているかのような批判めいた言葉を浴びせられたりする。ところがヨーロッパでは、「とても賢明な選択をしましたね」と、やたら賞賛される。

 * * *

わずか5~6歳で留学させたことに対して、日本とヨーロッパで評価がまるで違うというのだ。

最初は違う層に聞いているからじゃないかと思った。どこの国だって、大半の人はドメスティックだ。国内で付き合う日本人は不特定多数であり、その一方で、付き合いのある他国人は、知り合っている時点で選抜されており、インターナショナルな人たちだ。

しかし、よくよく考えてみると、そうとも言い切れない。いまだ未婚で出産する女性がすごく少数であることを考えると、「結婚」「家族」「子育て」という領域では、日本人はとても閉鎖的なのかもしれない。ジョディ・フォスター(女優、シングルマザー、子ども2人、父親の名前は公表していない)みたいな人は、日本の芸能人やスポーツ選手に1人もいないのだ。そう思うと、われわれは子育てを画一的に考えており、不幸だと思うね。少なくとも、ぼくは低年齢留学をかわいそうとは思わず、むしろ幸せであり恵まれてるなと思うけどな。

以下、感想を箇条書きで。

・低年齢留学は現時点で考えうる子育て“必勝法”ではないか。
・お受験ルートより留学ルートが内容面で優位なのは間違いない。
・今後も増える。
・それでも、これを選ぶ人はこれからも少数。
・経済面もさることながら、子どもの幼児期から、親が強い自覚を持って言い聞かせなどしてないと無理じゃないか。→親の意識が第一。
・子どもを持つのが当たり前の時代ではなくなり、出産を自覚的に選んだ人は、親であることを享受しようとする。=子どもは高級なペット。→ヘリコプターピアレンツ(過保護)現象。低年齢時に親元から離すのは、そんな現状と矛盾する。
・若草さんが低年齢留学に至ったのは、①高齢出産もあり教育オタク化したこと、②仕事が忙しい、の2点が大きい。専業主婦層はまた違うはず。
・これから国内の教育サービス産業が急速に発達すると思う。

・受験勉強は壮大な無駄だが、そこまで弊害が大きいわけではない。
・夫君の麻布受験が大変だったというのは大げさ。地方公立出身者からすれば、むしろ羨ましいルート。→東京の文化生活は中1から始まり、田舎の文化生活は大1から始まる。
・日本の教育現場の耐え難さは、長所を伸ばさず短所ばかり補おうとする姿勢。個性を認めない点。本当に耐え難い。
・日本の教育が30年前とろくに変わっていないのは異常。
・二人目(自閉症)の教育福祉環境のため、分不相応ながら今の高級住宅地を選んだ過去を思い出した。
・母語の揺らぎ、アイデンティティの喪失への危惧に対する返答がすごい。
・信念に基づき、実験的にも見える子育てを選んだ勇気こそ、今の日本人に欠けてるものかもしれない。
・留学してトラブったケースは、留学の問題ではなく、親子関係の問題だという答えに共感。

・日本では「そんな小さいのにかわいそうに」、ヨーロッパでは「とても賢明な選択をしましたね」→付き合う層の違いもあると思われるが、日本人の「結婚」「家族」「子育て」は閉鎖的すぎる。ジョディ・フォスター(シングルマザー、子ども2人、父親の名前は非公表)みたいな人はいつ現れるのか?

・東大出の下士官の上に、アイビーリーグを出た将校が降ってくる未来。→分野によるだろうが、全般にはそうでもないと思う。日本の大学も日本人もけっこう優秀。それよりも人材流出が進むのではないか。やばいのはそっち。野球の大リーグ現象と同じで、トップ選手は流出し、日本チームでは監督もコーチも日本人。
・経営という分野で、米国式が有効だとなれば、アイビーリーグ将校が降ってくる未来となる。→そうでもない感触。MBAの評価は高まっていない。
・麻布→東大でもグローバルスタンダードに届かない。→教育内容は歴然と負けているが、輩出する人材の質ではそう負けてないのではないか。理由は不明。
・『レイコ@チョート校』の岡崎玲子さんは、学業面では桁外れに優秀だが、そのコラムはたいしたものではない。もっといいコラムを書ける日本人大学生はゴロゴロいる。最高の教育を受けたら、最高の人材になる可能性が少し高まるけれども、その度合いはそんなに大きくないんじゃないか。
・日本最高が世界最高に劣るのは当たり前のことで、日本最高なリの水準があればいい。
・ボーディングスクールを持つのは国内格差の大きい国。日本にはそんな制度設計は無理。
・国内トップ層をボーディングスクールに送り込むべきか。→スーパー公立学校が生まれつつあるので、国のやることはそっちだろう。
・海外留学する日本人は減っている。韓国は大増加。大人もよく留学する韓国人の方が国としていい状態なのか? 判断できず。
・この前のテレビの高校生クイズ選手権では、昨年までと違って、やたら本格的になり、知を重視していた。→世の中全体として、知の尊重が復活しつつある。ゆるやかに受験も本物の知に向かうんじゃないか。
・教育鎖国という陰山さんの指摘。→確かにそう。


ふと、娘1号(高2)に留学について聞いてみた。すると「留学? 一生しなくていいよ、英語できないまま生きていくから」と。「日本が没落して国内で暮らすのが苦しくなっても、日本に貼り付いて生きていくの?」と聞くと、「うん」という。なんというネガティブ発言!(≧∇≦)

低年齢留学については、「してないんだから、もししてたらとか考えたってしょうがない」と。まーそーか( ̄w ̄)プッ

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コメント

たぶん、日本人はメチャメチャ優秀。
最近、異業種を経験して、あらためてそう思いました。
個々人の自分マニュアル=現場のヤリクリで、
すんげー複雑なシステムが円滑に動いていきます。
しかも、作業量に比べてミスの発生率が異常に少ない……。

欧米に比べて明らかに負けているのは、トップ層の教育だけで、
こういう粒の揃った“現場人”がたくさん出てくる
教育システム自体は、やっぱり経済的な強みなんじゃないですか?
それが個々の幸せにつながるかどうかは、
まったくの別問題なんですけど……。

つーか、日本の官僚と一緒で、
欧米の経営者も実はたいしたことないんじゃないかと思ってます。
サブプライムの破綻なんて、容易に予測できるはずなのに、
今ごろ大慌てしてるわけですから……。

化けの皮が剥がれましたよね、けっこう、あっさり。

彼らと自分たちとの収入や幸せ度の差は、
頭の良し悪しではなく、
結局は“マインドの問題”なんだな、と。

長々と本文にあんまり関係ないことを失礼しました。

投稿: ドラ13 | 2008年9月13日 (土) 22時25分

今現場にいるのは、ある環境に適応する事に成功した生え抜きの人間で、そうでない人間は脱落していくので現場には居ないのでは。
商売にもよるだろうけど、一般的に社会的流動性とやらも高まっているようだし、色々な現場に移動しても仕事が出来るような人でないと世の中渡っていくのは難しそうだな、とも思います。どこ行ってもやっていけるって難しい事じゃないですか。誰でも出来るとは思えないなと。
自分の能力を発揮できる環境を偶然ツモって来られない人も多いんじゃないかなあ。そういう意味で「優秀じゃない」(←若さのアピール)日本人もたくさん居るんじゃないかと。そうでもないんかな。

投稿: おまーん | 2008年9月13日 (土) 23時20分

人材はいつの時代にもいる。駄目な時代は適所適材ができない時代だ。

こんな話を聞いたことがありますが、自分の能力を発揮できる環境を偶然ツモって来られない人が多いならば今は駄目な時代なのかも。

それが個人の責任か社会の責任かは知らないけれど、解決できなきゃ社会ごと墜ちて行く以上は結局社会の責任なんでしょうね。

投稿: ななしさん | 2008年9月14日 (日) 00時47分

始めてレスします。

幼少の頃から海外で生活してきた人を多数知っています。
…というか私自身日本と海外両方の教育を受けて育ち、現在外資系の会社で、そのような環境で育った各国の人に囲まれながら居りますが、そこで考えさせられるのが、「母国」「母国語」の重要性ですね。

判断能力の無い子供を親の都合で留学させて、他国の言語・知識が身についたとして、日本語が疎かで母国語のように扱えないとなると本末転倒。

子供の将来の選択肢を増やそうとか、立派になって欲しいという親の欲目で子供に無理を強いてやしないか?家庭での教育を放棄してるのではないか?とかうがった見方をしてしまいます。

移民するのなら話は別ですが、日本を母国として胸を張って日本人と言うためには日本育ちじゃないと。
自己の判断力がつくまでは、(義務教育終了程度ですかね?)母国の親元で生活させるのが親としての義務ではないかと考えます。

反対意見も多いでしょうが、あくまでも私論で。

投稿: 有段者狩り | 2008年9月14日 (日) 16時49分

>ドラ13さん

いやー、ホントぼくもそんなふうに思います。日本人の真面目さ、忍耐強さなど、心の姿勢が基本的にいいのではないかと。
サブプライムの破綻であわててるアメリカのCEOたちは、バブル崩壊に対応できなかった日本の経営者と変わらないのかもしれませんね~(≧∇≦)

>おまーんさん

工場で働いているとして、毎日、仕事を終えたあと工場の製品をかっぱらって帰らない。そういった点でも、日本人は真面目で信頼できるんじゃないかと。比較のレベル低すぎますかね?( ̄w ̄)プッ

>ななしさんさん

明治維新など、国がやばくなったら、どこからともなく人材がわらわら出てきて、危機を乗り切ったわけですから、そんな気がしますよね~。

>有段者狩りさん

母語がしっかりするまではそれを最優先する。そうじゃないと、セミリンガル(半分ずつ)になってしまう。それが常識だと思います。
それが、この本の著者の方は、日本語と英語の順番が逆になっても大丈夫だと、幼児期から多言語環境に子どもを放り込み、その結果、知的活動にもまったく問題なく、アイデンティティも日本人として育っているというのです。これにはビックリしました。
親は日本語、学校は英語、遊びはフランス語と、場と相手によって言語が変われば、言語習得の臨界期(10歳)までなら、100の能力が33ずつになることなく、全部100で習得していくに違いないと。
そう確信するのもすごいし、それを実行してしまうのもすごいと思いましたね~。

投稿: 福地 | 2008年9月15日 (月) 09時20分

私も、有段者狩りさんに同意します。

この本が出されたのは、ずいぶん前のこと。今現在のお子さん2人はどうしているのでしょうか?親御さんが当時思っていた様になっているのでしょうか?

私は驚いたのは、結果もでていないうちから、うちの子にも低年齢留学を!とたくさんの賛同者がいたことです。実際に後に続き、お子さんを留学させた方もいるようですね。そして今では一種のビジネスになっているようですね。たくさんの留学センターなる留学相談所のようなものがありますよね。基本的に留学する事には全く反対していません。いいことだと思っています。しかし、低年齢からは、母語、母国語、アイデンティティーを語る上で、何かしらの副作用があることをお忘れにならないようにと思います。子供が国際児でインターナショナルスクールでしたので、色んなケースを見てきました。

今現在、英語も日本語も流暢に操り、フランス語も話せるようになっているのでしょうか?確かにいろんな意味で、ボーダーレスになっているとは思います。どこで納得するかは本人たちなので、それはそれでいい事だと思っています。しかし、この本に書かれていることは、あくまでも著者の意見。実際にどうかは、自分で調べ、自分で判断する事をお勧めします。

投稿: 一つの意見 | 2013年4月16日 (火) 04時29分

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