【麻雀】麻雀プロvsネト麻
天鳳で知り合い最高位戦プロ(強いと思う)の成績が低迷している。
特上で459回打ち、5段R1958という成績。低迷というほど悪くはないけど、彼から天鳳を始めたと聞いたとき、7段R2050以上はキープするだろうと思ったので、その予想より低い。本人は心の中で「こんなはずねー!」と叫んでいるはず。どうやら最初からsideの成績を上回るかどうか(つまりトップに立てるかどうか)しか考えてないみたいだし。
その理由は、何回か観戦してよくわかった。簡単に言ってしまうなら勝負しすぎ。トップラス麻雀になっていることからもわかるように、オリられないのだ。
なぜ、そうなってしまうのか?
ここに問題の根本があるわけだが、「対戦相手をリスペクト」できてないってことだと思う。
「対戦相手をリスペクト」とは、『牌族!オカルティ』という漫画に出てくる言葉だ。いろいろオカルトシステムがあるうち、№1は「対戦相手をリスペクト」だと最終話で明かされる。対戦相手を心の底から強いと思えない限り、麻雀の流れはとらえられないのだと。
つまりですね、彼は相手が七段だろうが八段だろうが、天鳳にいる人を全部スライムだと思ってるわけですよ。そこそこ打てても、たいしたことねーだろ、俺のほうが100倍強ぇーんだよ、と。
「相手をなめても麻雀はなめるな」って言葉があるけど、その結果、ふだんなら止められる牌まで切ってしまい、ラスを引くわけだ。
リアルの知り合いであるぼくや竜驤麟振と打つなら、バランスのいい麻雀を打てるんだろう。でもネットの組み合わせはランダムだからね。
彼のケースは、麻雀プロが大挙してネト麻に参加したらどんな成績を挙げるのかって問題についてのケーススタディになる。
人は心底面白いとは思えないものに本気になれない。麻雀でも、相手のことすげー強ぇーと思いながら、でも俺だって負けねーと思ってるようじゃないと、真の力は発揮できない。自信を持ちすぎても、自信を失っても、麻雀は勝てないのだ。
麻雀はやはり強い相手と打つほうが面白く、どーでもいい相手と打つのはつまらんですよ。だんだん適当になっちゃう。
そんなの本人の心の問題でしょ。要は弱いんだよ!
そんな反論があるかもしれない。そう、その通りで、精神的に未熟だってことでしかないんだけど、とはいえコントロールするのは難しいだろうなぁ。
ロン2で、麻雀プロたちの成績が悪すぎてR非表示になり、ユーザたちの不信感が爆発しているようだ。
ぼくからすれば、麻雀プロたちの成績が悪い理由はよくわかる。モチベーションがないからだ。
そりゃあね、麻雀プロはネト麻には本気になれないですよ。人は心底面白いと思えるものしか本気になれないから、いい成績なんか挙げられるはずない。自分で金を払って真剣に打ってる人たちとはモチベーションが違いすぎ。勝負になるわけがない。
だいたい、プロたちはふだん打つ場ですら、そこそこの本気でしかないことが多く、リーグ戦が自分の本場所だと思っている。どこが自分にとって本場所かが大きくて、そうじゃない場所で実力をはかることはできないんだよね。
それにね、リアルで打つ場に不足してない人って、ネト麻をやる必要がないからね。ますますモチベーションは上がらない。
しかしね、そんなふうに説明したら、アマ側は「ざけんな!」というだろう。言い訳にしか聞こえないし、「モチベーションが上がらないって、要するに馬鹿にしてんだろ!」となる。
まあそう言ってしまっても間違いではなかろう。麻雀プロ団体というのは、プロ団体に属する人の中で強さを競い合うって仕組みだから、構造として閉鎖的だ。タイトル戦などでアマに負けても、アマの強さを認めない心理は、団体の仕組みからくる部分もある。
そして、それ以上に大きいのは仲間内意識だね。誰だって、同じコミュニティに属してる人にしか興味はない。プロだって、同じ業界に属してる人か、自分の勤務してる店に来る人にしか興味を持たないよ。遠い離島にすごーく強い人がいるとしても、宮本武蔵の時代じゃないんだから、そんな人と勝負しようなんて誰も思わないって。
じゃあ、プロたちのモチベーションがすごく上がったとしたら、どうなるの? そんな質問もあるだろう。
仮に、プロ連盟の収益に占めるロン2の比重が圧倒的に大きくなり、ユーザを満足させなきゃならないって状況になったとしよう。どうすればプロたちのモチベーションは上がるのか。
簡単なことで、所属リーグをロン2の成績で決めるなり、プロ団体としての根幹をロン2に組み込んでしまえばいい。すぐ本気になっていくだろう。
そんなことが起こりえるかといったら、絶対にない。なぜなら、中国が経済では資本主義を放棄しながら政治では共産党が独裁してるようなもんで、プロ団体としての根幹をロン2においてしまうと、プロがプロたる証がなくなっちゃう。プロとアマが混在する状況なんかに移行するわけない。
それにね、どの団体も上層部にネットを使いこなせる人はほとんどいないだろうって現実問題もある。そもそも、麻雀を好きになる人って、昭和的な感性の人が多いみたい。ネットで公式対局? ふざけるな!って感じ。その中でもさらに古いタイプがプロになってるからね。
じゃあ、とにかくさ、ネト麻のトップクラスとプロのトップクラスの実力を比較したらどうなのよ? そんな質問になったとしよう。
これは判断するのが難しい。ネト麻のトップクラスは多少は見てるけど、プロのトップクラスって、この10年ほとんど見てない。モンドも観てないから。
強引に設定するとして、麻雀プロ全員が天鳳をぼく同様に真剣にやったとしよう。3割くらいは七段になるんじゃないか。ネットの赤東風に対応できる人は半分もいないと思うので、あるいはもうちょい少ないかもしれない。
八段や九段になる人は?ってなると、それはわからない。
スライムの中で好成績を挙げようってのと、ボスキャラだけ集まってその中で最強者を決めようってのでは、麻雀の質がまるで違うんだよね。ネト麻ってのはスライム狩りの能力を競うもので、プロ団体ってのは強者だけのセット卓だから、試されているのは別の能力だ。単純に考えて、天鳳の場だったら八段陣のほうが明らかに上だろう。
逆に、ネト麻でトップクラスの人をプロ団体のAリーグに3人ほど入れてみたらどうなるか。おそらくボロ負けする。誰しも自分の場でアイデンティテイをかけて打っているわけで、それを別の場に移植するって容易なことじゃないからさ。
同じ人数比にして、天鳳の八段10人とプロの上位者10人でリーグ戦をやったらどうなるか。これはわからない。プロが上回る可能性が高い気もする。ただ、リーグ戦という形式自体がプロのフィールドなので、やはり純粋な実力比較って難しい。ルールにもよるしね。
個人的な感覚からすると、side(天鳳で最強の人)はベテランプロトップの上をいくんじゃないかと思う。ただ、中堅プロの中には、sideと同様の実力を持った人もいそうな気がする。
つまり、
ネト麻トップ>ベテランプロトップ
ネト麻トップ≒中堅プロトップ
ベテランプロトップ>中堅プロトップ
という、不思議なトライアングルが成立しそうな気がする。ただ純粋に感覚的な話にすぎない。
また、リアル強者→ネット強者への移行は比較的やりやすいけど、ネット強者→リアル強者への移行は、そう簡単にはいかない。そんな問題もあるけど、その話は割愛。どうも天鳳で見る限り、リアルで打ち込んでないネット強者って、そんなにいないみたい。
以前、2ch麻雀板で募集された大会に参加したプロによると、ネット強豪のリアルの腕はからきしすぎて、比較するレベルにすらなってなかったと。東風荘の強者には、リアルで打ち込んでない人が多そうな印象がある。ただし雀賢荘の強者はリアル強豪じゃない人は皆無だった。
ネット麻雀の黎明期は、強豪たちもネット人間が多かったけど、今となってはかなり融合してきている印象がある。もちろん印象でしかないので、確かなことはまだ不明。
ただね、繰り返しになるけど、麻雀プロはネト麻に興味ないからさ。吉田光太、鈴木太郎、佐々木寿人、木原浩一など、赤東風をやりまくってる人たちにしても、彼らは麻雀を打つこと自体が本業なので、代替的な麻雀なんて必要ないし、そんな余裕もないからね。
知り合いの下っ端プロが、すげー楽しそうに天鳳で打ちまくり、そこそこの成績を挙げている。これは彼がリーマンで、麻雀を打つ場に不自由していることが大きいと思う。
雀賢荘では、ランキング100位内に入ってるプロは7人。参加人数を考えると、けっこう高率だと思うけど、この成績がアマを納得させるかといったら、させないだろう。また、彼らが麻雀プロを代表するかといったら、まるでそうは思えない。
てなわけで、プロvsネト麻は、そう簡単には実現しない。実現したとしても、ネト麻でRを競う形式では、最上位にはいけないんじゃないかな。
仮に、この文章を読んで、カチンときた麻雀プロの人が、「そんなら俺が締めたるよ!」って天鳳を打ったとしても、中っ端プロの実例からもわかるように、そういう動機じゃ心底本気にはなれないから、まーまーの成績しか取れないんだよね。長続きせず、七段になることすら難しいでしょう。知り合い同士で金でも賭けて競争すれば、また違ってくるとは思いますが~( ̄w ̄)プッ
※いま余裕ないのでレスは数日お待ちをm(_ _)m こんな文章書いてる場合じゃねーぜ(´д`)
| 固定リンク
コメント
福地先生らしくないシリアスな文章!
これ難しい問題ですよね
リアルで自分より遥かに格上の人が
何故か天鳳では自分より明らかに成績悪かったりしますからねえ
麻雀って集中力が極めて重要だから
動機付けがないとなかなか厳しいんでしょうね
ただ素人の視点から言わせて貰うと
プロと名乗るからにはそれなりの成績残して欲しいですね
麻雀プロってエクスキューズが多いんですよね
まあ麻雀プロという性質上しょうがないのかもしれませんが・・・
投稿: 住人 | 2008年6月14日 (土) 23時18分
>住人さん
麻雀プロが名前を出して立派な成績を残したり…ってのは、まー、厳しいかなと思います。
つーのは、たとえば、ぼくは2chでコラムを叩かれたりしても耐えられるわけですよ。こちらは金をもらってる立場だから、読者と対等ではないと思えるので。
麻雀プロの場合は、いい成績を残しても何もメリットはなく、逆に成績が悪いと叩かれるだけですもん。そりゃやってられないですよ。
やはりね、金の動かない世界には、プロ意識は育ちにくいですよね。
投稿: 福地 | 2008年6月15日 (日) 01時49分
しかし、プロ雀士がネット麻雀で本気にならないのと同様に、素人ネット雀士は自分の専門としている本業(会社員でも専門分野ってのはあると思います)ほどにはネット麻雀に力も時間もかけてないですよね。
まったく言い訳にならないような気がします。
投稿: kmo2 | 2008年6月15日 (日) 03時27分
>kmo2さん
まあプロって名乗るからいけないんですよね。競技雀士って名乗ってたら、実態を反映してますし、とやかく言われることもないんでしょうがー。
投稿: 福地 | 2008年6月15日 (日) 04時29分
話としては理解できますし、
実際そーゆう人がいる事は重々承知です。
真実でしょうし、言い訳としては成り立つでしょう。
しかし・・・「プロ」の言い訳にしては
余りにも、余りにもカッコ悪いんじゃないでしょうか?
なぜなら、プロってある意味アイドル?に
近い所があると思うからです。
損得抜きにして、ともかく麻雀が好き!
腕もある。キャラも立ってる。
勿論、麻雀なんだから腕と結果は
一致しない事多々ある。
それでも腐らず打ち続け、
長期ではファンに実力を見せ付ける。
こんな人がプロなら、あこがれる人も多いでしょう。
そのような人ではなく、こんな言い訳が出てくる。
こーゆう所が駄目なのだと思いますよ。
こんな言い訳を言うプロに
誰が憧れを感じるんでしょうか?
金稼げないから?メリットが無いから?
だから、本気になれなくて、だから結果が悪いだけ?
いや、それはまぁわかるけどね・・・って事ですよ。
投稿: ひむろ | 2008年6月15日 (日) 11時58分
勿論、気持ちとしてはブッチ切りの成績を
出して欲しいんですけどw
それでこそ、例えば僕なら競争心が煽られますからねw
もし、アカギの様な人が出てきたら、
東風第一捨ててでも、その人が打ってるネト麻に
移行したい!ぐらいに思ってますよ。
でも、このような結果が出せないだけで
駄目とまでは言いません。
例えば、凸が麻雀論考で書いてたように、
女流プロの活躍などもあるでしょう。
(失礼ながら)彼女らは麻雀で結果が出せていないにしても、
「麻雀プロ」としては活躍してるのだと思います。
男だったら難しいかもしれませんが、
方法が全く無いわけではないでしょう。
(というか、プロはそれを考える立場)
ともかく、ファンに見られてるのだ!という
意識ぐらいは持ってくださいって事ですw
少なくとも、カッコ悪い事はして欲しくないんですよw
ま、僕のこの言説。
青くさすぎる!といわれればそれまでですけどね(;^_^
でも、それを承知で書いてみました。
投稿: ひむろ | 2008年6月15日 (日) 12時29分
>ひむろさん
うーん、世の中の人がどうして麻雀プロにそこまで過剰な期待をするのか、正直よくわからないです。
松井やイチローだって、高校野球やプロ野球という仕組みに育てられたから真のプロになれたわけで、麻雀業界にはプロを育てる仕組みがないわけですよね。にも関わらず、「プロはこうあってほしい!」「こうあるべきだ!」という期待が爆発してるわけです。
ぼくの考えるプロ像では、ひむろさんの方がよっぽど麻雀のプロだと思うのですよ。フリー雀荘のメンバーこそ、麻雀で日銭を稼ぐことで、麻雀のプロだと思うので。
プロスポーツやオリンピックのテレビ報道などで、かっこよさ、いさぎよさ、正々堂々、言い訳しない、金なんか関係ない……などの演出が続けられ、それを何十年も見てると、みんなそーゆーのが当たり前だと思うようになるんですかね?
「プロ」→「かっこよさ」という回路が、スポーツっぽい感じがします。
旋盤加工のプロや植木剪定のプロや下水処理のプロに、世の中の人がそこまで期待してるとは思えないんですが。
集団食中毒事件を起こして潰れちゃった雪印の社長なんか、プロフェッショナルな会社のプロフェッショナルな社長だったのにあの程度だったわけで、それもまたプロのひとつの姿だと思います。
モンドに出てる人たちなどはまさにプロなので、自由に期待したり叩いたりすればいいと思うのですが、中堅の人たちはただ競技麻雀をやってるだけなので、プロのスター性がどうたらってのは、ほとんど関係ないと思うのですが~。
これはちょっと気の毒だなーと。
投稿: 福地 | 2008年6月15日 (日) 12時59分
かかる「メリット」「デメリット」を考えれば、
それは酷だろ?客観的に考えれば、勿論そうですよね。
それはわかります。
だからこそ、青臭いと表現したんです。
でも、福地さんの言うような理屈じゃないんですよね~。
世の中一般の麻雀ファンの思いに答えるからこそ、
そのプロ、プロ団体のファンになってくれると
思うんですよね。
僕ら麻雀ファンの期待や要望にあまり答えない。
それどころか、不信感を煽るような行動、言説はある。
それじゃあ、ファンは離れていきますよ。って事です。
でもま、やはり僕が若すぎるだけなんでしょうねw
金ももらえないのに、まだまだ下っ端、まだ中堅なのに、
俺が競技麻雀楽しみたいだけなのに、何でそこまで!って
言われれば、確かにそれまでの話です。
というか、それが普通ですよね・・・
長文失礼しました。
投稿: ひむろ | 2008年6月15日 (日) 13時37分
>ひむろさん
金の動きとか世の中の仕組みとかそーゆー部分じゃなくて、憧れとか精神的な部分ってことですよね。次元が違うので、ぼくの答えは答えにならないんでしょう。それはわかります。
ぼくは昔から芸能人とか「かっとよさ」の世界にほとんど関心ないので、そういう気持ちに冷淡だってのはあります。
ただね、芸能界とかスポーツとか、憧れを支える裏には、それをバックアップする巨大な業界があるわけで、それを麻雀プロに個人でやれっていうのは無理すぎだろーって話なんですね~。
投稿: 福地 | 2008年6月15日 (日) 13時48分