【教育】岩波書店ってやつぁ
東大の経済のセンセが書いた『教育再生の条件』なる本を読み始めてみたんだが、なんで、浮世離れしたこと言ってんじゃねーよ!と感じられるのか?
内容としては、こんな感じ。
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世界的に、競争社会vs協力社会という対立があって、日本は競争社会になってると。それは不毛で、スエーデンのような協力社会がよろしいと。
20世紀後半に、世界は工業社会から知識社会に移行した。スエーデンは労働者一人当たり付加価値を高めることを目指し、日本は労働者の仕事を単純化して人件費を圧縮する方向に進んだと。結果、同じ時期にバブル崩壊したにも関わらず、その後、スエーデンは付加価値の高い産業が発達して経済成長し、日本は低迷した。
これからの時代は、既存の知識はあっという間に陳腐化するから、生涯学びが必要になる「学びの時代」であって、学校教育だけでなく、生涯学ぶことを国家が支援する態勢が必要になる。
日本も早く、外から圧力を加える「盆栽型の学習」ではなく、自発性老いを大事にする「栽培型の学習」にシフトしなきゃいかんと。
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今の日本の教育を批判する理屈として、これはけっこうスタンダードなもの。この著者のみが言ってることじゃない。
実際、娘1号がやってることを見て、日本の教育内容の古臭さはつくづく思う。知性的じゃなさすぎる。頭を使ってない。
たとえば、地球温暖化とか少子化とか、世の中にはいろいろ問題もあるのに、そういったことから遠く離れて、無味乾燥“客観的”な知識体系を頭に入れろってのは、作業でしかない。「あらすじで読む世界の名作50選」を、あらゆる分野で丸暗記してるよーなもんだ。
実際、OECDの人から、日本の教育が想定してる労働(マニュアルを習得しそれを運用する労働)は、世界から消えつつあると警告されてるくらい。
だから、著者が主張することには基本的に異論ないのだが、それなのになぜ、この本に限って浮世離れしてると感じられるんだろう? 空中から洞窟に向かって語っても意味ねーよ、まったく岩波ってやつぁと感じられる。
競争社会=新自由主義=アングロサクソンで、北欧とは思想の枠組みで対立してるってパワーポリティクス的な構図が示されてないからか?
この本、増刷までされてるんだが。
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