【教育】今年の東大入試の結果から
先日、東大の合格発表が行われ、高校別のランキングが載った週刊誌が3誌も売られている。
厳密には後期が残っているが、まあ大勢はわかる。ランキングにはいつも通りの学校が並んでいる。例年と大差ない。
そのなかで、ひとつ目についたこと。
それは医学部進学コースである理3に、開成14名、灘19名、筑波大附属駒場13名と、3校で46名も合格していることだ。理3の定員は90名だから、この3校で過半数を超えている。
こんなことはかつてなかった。史上初だ(とはいえ、開成と灘は以前からこんな感じなので、筑波大附属駒場が多かったことが今年だけの現象と言えば言える)。
東大の医学部というのは難関中の難関で、普通の子は入ることができない。18~19歳の時点で受かることができるのは、日本で最高の秀才たちと言って過言ではない。
そこが一部の高校に占拠されつつある現象は、何を意味しているか?
それらの学校には、生徒を最難関に送り込む力があるのか? いや、そういうわけではない。カリキュラムが特殊なわけではないし(灘は多少あるが)、教師が特別に優秀なわけでもない。
では、なぜこんな現象が起きるのか。
(1)まず言えること、それは12歳の時点で、ある程度の選別が済んでしまっていることだ。将来、東大の医学部に行けるような子は、大半が中学受験して、首都圏か関西の最難関中学に入っている。
昔はもっとバラけていたというのは、将来、東大の医学部に行けるような子でも中学受験しない子がそれなりにいたし、また中学受験しても、かならずしも最難関中学には入っていなかったのだろう。
(2)もうひとつ考えられること、それは中学受験せず公立中学に行ったは、東大の医学部に入るのは難しいということだ。とはいえ、これはまだなんとも言えない。素質のある子は大半が中学受験してしまうのか、素質がある子でも公立コースでは東大の医学部までは入れないのか、2通りの解釈が成り立ち、どちらとも言いきれない。前者の傾向は間違いなく強まっているが、後者の傾向が進んでいるかどうかは定かではない。
3校とも、高校募集しているから、高校から入学する子もいる。だがおそらく、高校から入った子で、東大の医学部に入れる子はいないだろう。データはないが、今年の46名はおそらく全員が中学入学ではないか。最近は、この3校とも、トップクラスは中学入学の子ばかりになっている(英語はそうでもないが、数学力が決定的に違い追いつけないらしい)。
※その後、高校入学者にも理3合格者はいっぱいいると判明。灘では約3分の1らしい。
東大に入るくらいだったら、1学年3000人もいるから、他の私立中学や公立中学などのコースでもどうにかなる。だが、1学年90人の医学部となると、特定のコースを通らないと難しい時代になりつつある。
同じような現象は数学オリンピックでも見られる。最近、上位者は灘と筑駒ばかりになってきている(開成は最近少なめ)。数学の素質のある子は全国に分散しているはずだが、結果を見る限り、最近ではまったくそうなっていない。
フランスの国立行政学院は1学年の定員が100人あまり。有力な政治家はみなここを出ていると言える超エリートコースだ。普通の子は入ることができない。幼少期からの家庭環境も大きい。それを思わせる現象が日本でも起きつつある。
同じように、京大医学部の結果を見てみると、大量合格者を出している高校は、東大寺学園13名、甲陽学院8名、灘14名といったところ。京大に入るだけだったら、大阪や京都の公立中学から公立高校でも可能だが、医学部に入ろうと思ったら、こういった学校に中学から入らないと難しいのだ。
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