【つぶ】赤ちゃんを捨てた側の論理
赤ちゃんポストの設置をきっかけに、捨て子について議論が起きた。賛否両論あるようだが、否定派の意見は「産んだら育てるべき。それが無理なら産むべきじゃない」という倫理面にまとめられそう。
今週の『SPA!』に「赤ちゃんを捨てた側の論理」という記事が載っている。これは読もうと思い、立ち読みですませず買ってきたのだが、これが予想以上にリアルですごい記事だった。
遺棄少女3人のインタビューから、いくつかフレーズを拾ってみよう。
* * *
★1人目。15歳。
「父親(相手)は名古屋市内に遊びに行ったときにナンパされてHした18歳くらいの人。『子供できたかも』ってメールしたら、速攻でアド変されて、音信普通状態」
「ウチは親が異常に厳しい。子供の頃、叩かれて骨折したこともあった。だから絶対言えなかった」
風邪薬を12錠一気に飲んだが、すぐに吐き出してしまい、救急車を呼ぶ事態にすらならず、頑丈な自分の体を呪った。
「少し楽になった瞬間、『メリメリメリ』ってアソコが切れる音がして、ゴトって地面に落ちた。夜中の2時頃でした」
「(生まれた赤ちゃんを外に連れ出し)川に投げるか森に投げるか迷った」
「母親の気持ちなんか全然出てこないし、かわいくない、見たくない、見るとたぶん殺したくなる。川に捨ててたら、たぶん少年院に行くことになったかもしれないけど、そっちのほうがラッキーだったと思う」
★2人目。18歳。
「ぶっちゃけ、誰の子かわかんない」
母親は「あんた性病なんでしょ? 頭がパーの子が生まれるから堕ろしないさい」と無責任かつ無知な言葉を繰り返すばかり。
出産は地獄だった。激しい陣痛は半日以上続き、本気で救急車を呼ぶことを考えたが、携帯電話も家の固定電話も料金未納で止まっていた。
「母親は生活保護を受けてたから、乳児院入りが決まったのだと思う。だから、まぁ親が貧乏でラッキーかなと思ったね」
★3人目。17歳。
「妊娠は2回目だった。2回とも、相手は援交の客。1回目は中絶したんだけど……」
(施設から脱走してから)3年間、援交や年齢をごまかして採用された風俗で、生計を立てている。
リョウ(居候先、女)の部屋で産むことにした。産婆はリョウ。もし危険だと感じたら即、救急車を呼ぶと決め、腹を据えた。
「最低なのはわかっている。やっぱり、本当は私が育てるべきだった。でも16歳の家出少女と援交相手との間に生まれたことになるよりは、私と同じように施設で育ったほうが全然マシだもん」
* * *
という感じ。1人目は「殺したほうがよかった」と言っていて、そう言うことに罪悪感なし。2人目はちょっとした病気にかかった気分で、もう気にしてない。3人目は罪悪感を持っているが、赤ちゃんの乳児院行きを納得もしている。
特集の中には、自称“ピル屋”の「『妊娠しちゃったけど、ピル一気で堕ろしたよ~』なんていう話をよく聞きますよ。『妊娠? 何それ? 性病のちょっと酷いやつじゃないの?』みたいなノリのコもいますしね」という証言もある。
生物的にはセックスというのは子作りなのだが、あらゆるメディアが伝えるイメージは「愛の行為」であるか「快楽の行為」であるかのどちらかだ。本来的にはセックスは子作りだというのは、多数派の側の常識にすぎない。避妊や性病の知識も、必要な者ほど持っていない。
この状況で、なんとしても自分で育てろというのは、虐待や遺棄を増やすだけだ。「赤ちゃんポストは遺棄を助長する」と反対派は言うけど、捨てればいいからって産むやつはいないでしょ。
じゃあ解決策は? たぶんないんじゃないか。経済格差を小さくするというのは現状では机上の空論にしか思えないし、教育をしっかりするというのは効果ないと思う。少子化だし、国が施設で育てるのがいいのでは。
赤ちゃんポスト反対ってのは、自分の倫理を誰に対しても適用すべきだと主張してるだけだよね?
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