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2006年12月18日 (月)

【教育】安倍教育改革1

またしても「日刊ゲンダイ」の連載から。今度は安倍教育改革について。


9月に安倍政権が誕生して、「教育再生」を最重要課題と位置づけた。そして、教育再生会議を設置し、衆院では教育基本法改正案を強引に押し通した。

それに呼応するかのように、教育に関する問題が沸き起こってきた。まず、全国の1割もの高校が必修科目を学ばせていなかった未履修問題。いじめによる自殺をこれまで学校が隠蔽してきた事実が明るみに出て、伊吹文科相に自殺を予告する手紙が続々と送られてきた。教育改革タウンミーティングでは、政府のやらせ発覚である。

教育改革がいよいよ重要になっているのは、誰もが認めるところだろう。それでは、安倍政権の教育改革とはどういったものなのか。教育といっても幅広いから、まだ見えていない部分も多いのだが、見えている要素を集めて検討してみよう。

安倍教育改革の根本にあるのは何か? それは「教育再生」という言葉に表れている。「再生」とは「再び生き返ること」であり、古き良き時代に立ち戻ることを意識させる。そう、安倍教育改革の精神は「復古」なのだ。グローバリズムの進展など、教育を巡る環境は大きく変化しているが、その新しい状況に、過去の〝理想郷〟へ回帰することによって対応しようとする。安倍首相の著書『美しい国』というタイトルを見ても、そんなノスタルジックな雰囲気が表れているではないか。

昭和35年に総理大臣が岸信介から池田勇人へと代わったとき、自民党は思想保守から経済保守に切り替わった。その前の時代、つまり祖父である岸信介の時代に戻し、やり直そうという思想が安倍首相の根底にはある。

その具体的な表れが教育基本法の改正だ。狙いは、教育段階からの国民の管理強化と愛国心の注入である。経済格差が開き貧富の差が大きくなると、負け組には不満がたまり、治安が悪化する。その対策だ。これは小泉政権から着々と布石が打たれてきた路線の継承であり、その教育バージョンといえよう。

それ以外の問題では、教員免許更新制や教育バウチャー制が挙げられているが、まだ具体化しているとはいえない。教育再生会議の結果を待つことになる。

しかし、残念ながら安倍教育改革は成功しそうもない。それどころか状況はさらに悪化するだろう。理由は経済格差の拡大を止めようという姿勢がないからだ。諸悪の根源を放置したままでは、あらゆる改革がいかに空しいものになるか、明日から引き続き報告していこう。(つづく)

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