【教育】教育格差2
「日刊ゲンダイ」の連載から。
日本では全国どこにいても一定水準の教育を受けられるはずだ。そんなふうに考えていないだろうか。しかし、これは20世紀までの「常識」で、今ではまったく通用しなくなってしまった。ちょうど21世紀になった頃から、公教育もひそかに全国一律という看板を下ろし、地域による格差、学校による格差を認めるようになった。その結果、今では恐ろしいほどの地域格差が生まれてしまった。
東京都を例に取ってみると、23区は2つに分けることができる。古いエリアである城東・城北地区と新たに発展した城西・城南地区だ。端的に言ってしまうなら、この2つは貧しいエリアと豊かなエリアなのである。2002年の1人当たり給与所得では、上から港区、千代田区、渋谷区、文京区、目黒区、中央区、世田谷区、新宿区、杉並区という順番になった。この9区が平均以上で、残り14区は平均以下だ。一方、下位7区を下から順に挙げると、足立区、葛飾区、荒川区、墨田区、江戸川区、北区、板橋区となった。東北方向にある区と南西方向にある区にスッパリと分かれている。この差が教育にストレートに出る。
私立中学への進学率を見てみよう。1位の中央区が40・7%、2位の千代田区が38・8%、3位の文京区が38・7%、4位の港区が33・5%。この4区はまさに勝ち組予備軍の街だ。下位を見てみると、23位が江戸川区の11・1%、22位が足立区の11・5%、21位が葛飾区の12・8%。城東地域が並んでいる。
上位の区と下位の区では3倍以上の差となっているが、これが本当の姿だと思うのはまだ甘い。私立・国立小学校への進学率になると、この差は20倍近くまで広がる。トップは渋谷区の24%。これに対して、東部地域の区はだいたい1%前後だ。そもそも、私立・国立小学校は、都内の中央から西方向にあって東方向にはまるでない。文京区や千代田区では子どものお受験向けマンションが売り出され、経済的に余裕のある教育熱心な層が移ってくる。
文房具や給食費の公的援助を受ける就学援助率も見てみよう。生活保護を受ける条件が「要保護」なのに対し、就学援助は「準要保護」。区によって基準は異なるが、収入の少ない若夫婦はまず対象となる〝豊かでないことの指標〟である。
最も比率の低い千代田区は6・7%で、足立区の47・2%と7倍もの差となっている。公的援助を受けている児童は、千代田区は100人当たり7人以下だが、足立区は半分近くということである。ただ、実態はこの数字以上に開きがある。(つづく)
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コメント
こんにちは。「大学受験・偏差値49からの逆転勉強法@京大卒」の管理人のTAKENAKAと申します。僕のトラバを受け取ってくださり、ありがとうございます。学校の地域格差、難しい問題ですね。僕は大田区の出身ですが、中学卒業まで、塾というものにほとんど行っていませんでした。でも、お分かりとは思いますが、本人のやる気しだいでずっと実力は変わりますよ。
今の子は、そのことがよく分かっていないんだと思いますよ。
僕がそうだったから。
投稿: TAKENAKA | 2008年1月11日 (金) 08時03分
>TAKENYAさん
書き込みありがとうございます。
そう、本人しだいなんですよね。ぼくも塾にはそんなに行きませんでした(親が「勉強は自分でするもんだ」が口癖で、気楽に金を出してくれる雰囲気ではなかった)。
ただ、集団として見たときには、はっきり地域格差が出てくるんですよね~。
投稿: 福地 | 2008年1月27日 (日) 15時30分