【教育】教育格差6
とことんしつこく「日刊ゲンダイ」の連載から。
2002年からいわゆる「ゆとり教育」が始まり、学習内容が3割削減された。厳密にはゆとり教育路線は20年前から始まっているのだが、今回の削減は大きかった。3割も減らしながら、全体の枠組みはあまり変えなかったから、個々の単元が弱体化された。たとえば、分数の掛け算を習った後に、それが身につくように練習する時間がなくなってしまった。結果、家庭でのフォローや塾に通うか否かの差が大きくなった。
昔は、塾に通っていない子にも優秀な子はそれなりに存在した。それが今では非通塾で優秀な子は激減してしまっている。勉強の基本は学校だという原則が崩れ、すでに補助学習が必須になりつつあるのだ。公立中学の三者面談でも、「塾はなんと言ってた?」という質問が当たり前になった。
大都市部では以前から中学受験が盛んだったが、それが02年以降は低年齢化した。
「最近うちに来る子は、小学校受験をなんらかの形で経験しており、幼児期からスタートしているのが特徴ですね。中学受験がスタートという子は非常に少ない」
都内の中学受験塾の講師はそう語る。教育熱心な家庭では、義務教育が始まる以前から公教育任せにせず、自前で我が子の教育プランを立てるようになりつつある。
その一方で、完全なる放任家庭も増えている。子供が居間でテレビゲームばかりしていてじゃまだからと自分の部屋を与えたら、近所の子の溜まり場になって、ますますゲーム三昧。そんな話を聞いた。この家庭は家族で旅行に行くような出費はいとわない。しかし、子供をしつけたり、勉強させたりする気はないのである。親の子育てに対する姿勢の差は以前から存在した。だが、その差が顕在化する時期が早くなっている。小学校の低学年のうちから二極化するようになってきている。
こども未来財団がそんな現状を反映した調査結果を発表している。高収入夫婦ほど子供の教育費を負担に感じているというのである。子育てを負担に感じる理由のうち、養育費(生活費+教育費)を一番に感じている割合は、年収200万円以下でわずか4.9%。それが年収1000万円以上の家庭では、20.3%にもなっている。まさに逆転現象だ。つまり、収入の高い家庭ほど子供の教育に意欲を持ち、その結果、費用負担を重く感じているのである。
最近は、高学歴は高学歴同士、低学歴は低学歴同士で結婚するようになっているから、意欲でも経済力でも家庭の力が二極化している。それが子供の教育にストレートに出てくるのだ。(つづく)
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