【麻雀】打ち手意識
王位戦が終わり、ネットでそのレポートなどを読んでいるうちに不思議と沈んでくる心。
ん? なぜ沈むんだ? すぐには理由がわからず、しばらく考える。 とくにブルーになったのが、優勝者・多井隆晴さんを語ったこんな文章。
* * *
予選から見てて印象的だったのが、とにかく振込みが少ない。
(一見)強い牌を通しても、アタリ牌は的確に抑えます。
で他家が高い手を張ると、すかさず脇へ1000点差し込み。
スーパープレイを何度となく見せられました。
いやー実際にこんな読みができる人がいるとは、正直驚きました(嘆息)。
* * *
なぜ俺はこんなことで凹むんだろう? 自分の心をしばらく探っているうちに、だんだん理由が見えてくる。そーか、俺はこいつには勝てないなと思って、それでブルーな気分になってたのか。ってことは、現役の打ち手意識を持ってるってことじゃないか。思ってもいなかった打ち手意識を自分の中に発見してしまう。
ぼくは自分のことを現役の打ち手と思ったことってない。いや、もちろん麻雀はよく打ってますよ。つまりプロ意識ってことです。
俺は生涯、草雀士でいい。ギャラをもらって人前で打ったりする気はない。麻雀は単なる遊びだ。30歳のときにそんな見切りをつけ、それ以来、遊び以上の麻雀、つまり真剣勝負をしようと思ったことはなかった。だからタイトル戦などにも参加しないんだよな。
20代後半に3~4年、麻雀が強くなることしか考えない生活を送り、そのあと生ぬるい会社員をやってから、そんな風にスパッと割り切っていた。
ひとつのことに3~4年も打ち込むと、自分の器ってもんがある程度は見えてくる。ああ、俺のことそんなに才能豊かには生んではくれなかったんだね、お母ちゃんって感じ。
雀荘バイト時代、ぼくはけっこう努力家だった。デジタル流行りの昨今ではよく見かけるけど、当時は成績を百円単位まできっちりつけてるヤツなんて自分以外に見たことなかった。
同僚メンバーたちはみんな累積債務がマイナス数十万あって、ずっと無給。麻雀好きの学生だからできる生活。そんな中にあって、ぼくはずっと給料をほぼ全額もらい続けていた。
その差は何か? 雀力じゃなかった。ただ姿勢と意志の差だった。
ドラクエを買った直後でもかならず6時間以上は寝るとか、出勤の1時間前には起きるとか、風邪をひかないように気をつけるとか、麻雀の最中はなんとしても集中を切らさないとか、常連の癖は全部覚えるとか、仲間意識を持ってつるまないとか、誰に対しても鬼になるとか、かっこよさなど考えず目先の金を拾うとか、つまりはそういうことだった。
そういう生活を何年かやればこんなもんかなって思う。もう途中からはあまり進歩していなかった。逆立ちしてもマネできない冴えを見せる雀ゴロが二人ほどいて、自分にそういう才能はないってことはよくわかった。
だからってそう簡単にやめられるもんじゃない。たまたま出来婚して、会社勤めを3年ほどしたことが冷却期間になった。
プロのプレイヤーって何だろう? そんな問題に自分なりの決着をつけ、麻雀に関してはプロのライターになろうと思い、その数年後に、今度は、文章の才能があるようには生んではくれなかったんだね、お母ちゃんって思うんだけど、まあそれはいーや。
これでも1年前まで点5雀士に落ち着いてたんですよ。ピンだと少し高いなって思うくらいまでレートは下がっていた。ぼくは仕事自体がかなりギャンブルだし、金のやりとりにさして熱意はなくなっていた。
それが、この1年ほど麻雀にハマり、だんだんレートも上がって、自分でも気づかないうちに打ち手意識が再燃してたようだ。
そういう意識はあった方が楽しいから、これはこれで悪いことじゃないとは思う。プロのプレイヤーにはならない。じゃあ現役じゃない。そんな感じで限定的に考えすぎてしまうのは、ぼくの悪い癖だ。もうちょっと気楽に考えていいんじゃないか?
そう思うけど、とまどいを感じちゃうね。なんでタイトル戦の優勝者にライバル心を持たなきゃいかんのだ? 何かと極端じゃないか?
たぶん他人から見たら不思議だろうと思う。ずっと麻雀の原稿は書いてるんですよ。それでも私生活では、麻雀にハマってたり、ハマってなかったりするんだよね。
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コメント
>ドラクエを買った直後でもかならず6時間以上は寝るとか
これだけで、その打ち込み度合いが理解できました。
投稿: 小鳥たけお | 2006年7月18日 (火) 03時27分
>小鳥たけおさん
ドラクエとFFはけっこう勝負所でしたよー(≧∇≦)
投稿: 福地 | 2006年7月18日 (火) 04時33分