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2006年7月11日 (火)

【つぶ】世代の作家

25歳くらいのころ、ある日の夜中から早朝にかけて、バイト先の雀荘で夜番をしていた。

その日はフリーの客が4人で打っているだけ。暇だった。 暇なときは、たいてい誰かの後ろから麻雀を見ているもんだったけど、その日は空いてる席で本を読んでいた。

『僕の昭和史』Ⅰ~Ⅲ(安岡章太郎)という本。 この著者に興味があったかといったら、まったくなかった。彼の小説は一冊も読んだことなかった。ただ、こういう一代記みたいなものが比較的好きで、文庫本だというだけの理由だった。

そこに、早朝4時か5時ころ、お客さんが来た。 近くの出版社で取締役をしている人だった。

彼はぼくの読んでる本を見て言った。

「なーんだお前、いまごろ章太郎なんか読んで!」

馬鹿にするような調子で、同時にものすごくうれしそうだった。 そのとき、安岡章太郎を「章太郎」と名前だけで呼ぶらしいと初めて知った。

安岡章太郎は、文学史的には「第三の新人」と呼ばれるグループだ。 安岡章太郎、吉行淳之介、小島信夫、庄野潤三、遠藤周作、近藤啓太郎、阿川弘之、三浦朱門などを指す。

ぼくはこのグループの人たちに興味を持ったことはなくて、遠藤周作を2~3冊、吉行淳之介を1冊しか読んだことがなかった。しかも、吉行淳之介の1冊は『麻雀好日』というエッセイだった。

どんな小説家の本を読んでるか、そこには世代が歴然と出る。 ぼくの頃だったら村上春樹や村上龍だった。 安岡章太郎はこの取締役にとってはかなり身近な存在なんだろう。

ぼくはこの『僕の昭和史』をかろうじて3冊とも最後まで読んだけど、まあ読めたというくらいで、彼の小説も読んでみようと思うほどではなかった。やはり、ぼくの世代の作家じゃないと感じていた。

しかし、この取締役が喜んでくれたことで、ぼくは親孝行したような気分になり、ちょっとホッとした。 それまで、負けてる日は取り戻すため、この人に強引にサシウマを挑んだりして、さんざっぱら迷惑をかけてたから。

店員が客に無理やりサシウマを挑む、ひどい雀荘だった。

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