« 【つぶ】モヒカン公務員!? | トップページ | 【教育】アメリカで階層別住み分けが進む理由 »

2006年6月28日 (水)

【つぶ】心の闇

最近、犯人の「心の闇」が問題とされる事件が多い。

秋田県で起きた、自分の家の子が死んだから、隣の家の子を殺しちゃったという事件。犯人が嘘つき魔で、高校の卒業名簿でみんなから「死ね」などと寄せ書きされるほど、いじめられていた。そんなこともあって、彼女の「心の闇」が問題とされている。

奈良県で起きた、高校生が放火して家族を焼き殺しちゃった事件。父親からいつも試験の成績で厳しく怒られていたそうだが、だからといって放火するというのは異常で、これまた「心の闇」が問題とされている。

「心の闇」というフレーズは、逆にいうなら、健全な人の心には闇がないと言っているわけだ。だが、人間の心って、そんな簡単なものなのか? 心に闇を持つのは一部の異常者だけなのか? というよりも、心は明るいエリアが大部分で、そこに暗いエリアがあるようなものなのか?

こういう事件の報道は、彼らの「心の闇」を解き明かすことを目的とする。みんな、理解できる動機やストーリーを求めており、マスコミはその期待に応えようとする。

ニュースは完全に娯楽化しており、犯罪報道も劇場化している。マスコミは薄っぺらいものだという認識は常識化しているが、そのマスコミの影響力はかつてなく強まっている。結局のところ、日本人の認識自体がどんどん薄っぺらくなっている。「心の闇」という記号がどんどん消費されている。

いつから、人間の心には闇がないのが常識とされるほど、人間観が薄っぺらくなったのだろう。たぶんこれは、みんながフツーだという認識が崩れようとしている今、最後に燃え上がっている普通幻想の一種なのだと思う。

そんなものは早く崩れてしまえばいいのに、古い世界が崩れたとは思いたくない人もいっぱいいて、そんな状況がマスコミの劣化に拍車をかけている。ぼくもその一端を担っている立場なので、こんなことを書く資格があるかどうか、わからないけど。

|

« 【つぶ】モヒカン公務員!? | トップページ | 【教育】アメリカで階層別住み分けが進む理由 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【つぶ】心の闇:

« 【つぶ】モヒカン公務員!? | トップページ | 【教育】アメリカで階層別住み分けが進む理由 »