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2006年6月21日 (水)

【つぶ】不確かへの誠実さ

知ってることと知らないこと、確かなことと不確かなこと、説明できることとできないこと、客観と主観、事実と感情。

こういったものを細かくより分けて、確かなことだけを集めて、そこから自分の考えを構成していく。これがすべての知的作業の基礎となる。確かと不確かの正確なより分けができなくなったら、その基盤はガタガタになってしまう。

若いころ、歳を取るのが怖かった。歳をとるって、こういう誠実さが失われることじゃないかと思っていた。自分はいつまで誠実にいけるのか、まるで自信が持てなかった。

誠実さを失った人ほど知的なんて言葉が好きだったり、あるいは主観を極端に肥大化させその世界の中で生きている。いつの日か自分もあっち側の世界に行く日が来るんだろう。それが歳をとるってことなんだ。そう思っていた。

女性は歳をとってもあっち側に行かない人も多いけど、男性は大半が向こう側に旅立ってしまう。そんなことを思うようになったのは中1か中2のときだった。

さて、その年代では想像もつかなかったほど歳をとった今、自分が確かと不確かを誠実に分けられなくなったかというと、そんな気はしない。少し甘くなった気はする。だが少しにすぎない。

1年ほど前に読んだ本に、こんなことが書かれていた。(要旨)

「知性はそう簡単に老化しない。心配しなくていい。だが感情は簡単に老化する。こっちはやばい。とくに社長とか、先生とか、会長とか、そう呼ばれる立場になったら注意しろ。自分の言うことを聞かない人を意識的にそばに置くくらいじゃないと危険だ。シャープな助教授が教授に昇進して1年もすると頓珍漢なことを言い始める。感情の老化はあっという間だ」

この本を読んだとき、数十年来の疑問が解けた気がした。そして歳をとることへの恐れがかなりなくなった。オレは大丈夫なんじゃないか。

歳をとることと誠実さが失われることは直接には関係がない。歳をとること=知恵がつくこと、そんな甘ったるい価値観も世の中から薄れてきた。

地道に生きていけば、心も地道なんじゃないか。歳をとったら自分が自分でなくなるという恐れから、かなり自由になった気がする。

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コメント

うおおおおお  過去記事にコメすまん

>若いころ、歳を取るのが怖かった。歳をとるって、こういう誠実さが失われることじゃないかと思っていた。自分はいつまで誠実にいけるのか、まるで自信が持てなかった。


まさに今のおれだったわw高1くらいからこういう漠然とした不安があったけど今解放された!!!ありがとー


>そんなことを思うようになったのは中1か中2のときだった。


しかし幼いころから考えてたんだね 福地の昔話もっと聞きたい

投稿: ちんこラヴァー | 2013年8月 3日 (土) 17時54分

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